民法661条 寄託者による損害賠償

第661条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。


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委任の場合と異なり、寄託者の善意無過失又は受寄者の悪意を理由とした免責が認められています。

cf. 民法650条3項 受任者による費用等の償還請求等

民法662条 寄託者による返還請求等

第662条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
 
2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。


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改正前民法662条 寄託者による返還請求

民法664条の2 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

第664条の2 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
 
2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。


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民法665条の2 混合寄託

第665条の2 複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
 
2 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
 
3 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。


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改正前民法666条 消費寄託

第666条  第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。
 
2  前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわらず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる。

 
cf. 民法666条 消費寄託

民法666条 消費寄託

第666条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
 
2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
 
3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。


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改正前民法666条 消費寄託

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もう一歩先へ 3項:
受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還することができないのが原則です(663条2項)。
しかし、消費寄託(預貯金契約)については、受寄者(多くの場合、銀行)は、期限の定めがあってもいつでも預貯金を返還することができます(591条2項準用)。
なお、民法591条3項は、「当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。」と規定し、貸主の保護を定めています。

cf. 民法663条2項 寄託物の返還の時期

民法644条の2 復受任者の選任等

第644条の2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
 
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。


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もう一歩先へ 2項:

受任者及び復受任者が代理権を有する場合にのみ適用されます。
受任者又は復受任者が代理権を有しない場合には、通常、委任者と復受任者の間には契約関係がないため、委任者と復受任者との間には何らの権利義務も生じないと解されます。

cf. 民法106条2項 復代理人の権限等