民法664条の2 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

第664条の2 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
 
2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。


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民法665条の2 混合寄託

第665条の2 複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
 
2 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
 
3 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。


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改正前民法666条 消費寄託

第666条  第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。
 
2  前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわらず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる。

 
cf. 民法666条 消費寄託

民法666条 消費寄託

第666条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。
 
2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
 
3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。


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改正前民法666条 消費寄託

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もう一歩先へ 3項:
受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還することができないのが原則です(663条2項)。
しかし、消費寄託(預貯金契約)については、受寄者(多くの場合、銀行)は、期限の定めがあってもいつでも預貯金を返還することができます(591条2項準用)。
なお、民法591条3項は、「当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。」と規定し、貸主の保護を定めています。

cf. 民法663条2項 寄託物の返還の時期

民法644条の2 復受任者の選任等

第644条の2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
 
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。


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もう一歩先へ 2項:

受任者及び復受任者が代理権を有する場合にのみ適用されます。
受任者又は復受任者が代理権を有しない場合には、通常、委任者と復受任者の間には契約関係がないため、委任者と復受任者との間には何らの権利義務も生じないと解されます。

cf. 民法106条2項 復代理人の権限等

民法654条 委任の終了後の処分

第654条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。


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応急処分義務といわれます。
たとえば、死亡直前までの病院代や介護サービス料などの支払いは、委任終了後の応急的な処分として処理しなければならないとされています。ただし、相続人等の意向に反する場合は処理すべきではないでしょう。

死後事務委任契約の有効性については、最高裁平成4年9月22日判決(金法1358号55頁)が、委任者と受任者との間で、委任者の生前に結ばれた、病院への支払い、葬式を含む法要の施行とその費用の支払い、家政婦などに対する謝礼金の支払いを依頼する契約は、委任者の死亡によっても終了しない旨の判断を行っています。

民法632条 請負

第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


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注文者が死亡した場合であっても、請負契約は終了しません。委任は、委任者の死亡によて終了しますが、請負にはそれに相当する規定はありません。

cf. 民法653条1号 委任の終了事由
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cf. 最判平9・7・15(平成5(オ)2187 請負工事代金請求、民訴法一九八条二項の裁判申立) 全文

判示事項
 一 請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期
 二 仮執行宣言に基づく給付金に商事法定利率による金員を付加してその支払を求める民訴法一九八条二項の申立てが認容された事例

裁判要旨
 一 請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。
 二 (省略)

cf. 民法506条2項 相殺の方法及び効力
cf. 民法533条 同時履行の抗弁
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cf. 最判平14・9・24(平成14(受)605  損害賠償請求事件) 全文
 
判示事項
 建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合に注文者が請負人に対し建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することの可否

裁判要旨
 建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。

cf. 民法559条 売買の有償契約への準用
cf. 民法564条 買主の損害賠償請求及び解除権の行使
cf. 民法415条 債務不履行による損害賠償
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cf. 最判昭46・3・5(昭和45(オ)1117 所有権確認等請求) 全文

判示事項
 請負人が材料全部を提供して建築した建物が完成と同時に注文者の所有に帰したものと認められた事例

裁判要旨
 請負人が、材料全部を提供して、注文者の所有する土地に建物を建築した場合において、請負契約が分譲を目的とする建物六棟につき一括してされたものであり、請負人は、その内三棟については注文者ないしこれから分譲を受けた入居者らに異議なくその引渡を了し、注文者から、請負代金の全額につきその支払のための手形を受領し、その際、六棟全部についての建築確認通知書を注文者に交付したなど、判示の事実関係があるときは、右確認通知書交付にあたり、六棟の建物につき完成と同時に注文者に所有権を帰属させる旨の合意がなされ、いまだ引渡しのされていない建物も完成と同時に注文者の所有に帰したものと認めることができる。

cf. 民法246条 加工
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cf. 最判平5・10・19(平成1(オ)274  建物明渡等) 全文

判示事項
 建物建築工事の注文者と元請負人との間に出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合と一括下請負人が自ら材料を提供して築造した出来形部分の所有権の帰属

裁判要旨
 建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、右契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する。

改正前民法635条 請負人の担保責任

第635条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

 
cf. 民法635条 削除
 

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仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合の契約の解除については、債務不履行による契約解除の一般的な規律に従うことになります。

cf. 民法564条 買主の損害賠償請求及び解除権の行使

cf. 民法559条 売買の有償契約への準用