民法369条 抵当権の内容

第369条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
 
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。


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もう一歩先へ 2項:
賃借権は、抵当権の目的とはなりません。

民法184条 指図による占有移転

第184条 代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。


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もう一歩先へ
代理人(占有代理人)が承諾しなくても、第三者は占有権を取得します。

民法185条 占有の性質の変更

第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。


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他主占有⇒自主占有に転換する要件

  • 所有の意思があることの表示
  • 新権原による占有の開始

例えば、図書館から借りている本について占有の性質を変えるためには、これからは自分のものとすると図書館に電話したり、その本を買ったりする必要があります。

図書館から借りている本は自主占有ではないので、いつまでも保有していても時効取得することはありません。

cf. 民法162条 所有権の取得時効
もう一歩先へ
相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始して、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも、相続人は新権原により所有の意思をもって占有を始めたものといえます。

民法187条 占有の承継

第187条 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
 
2 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。


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もう一歩先へ 2項:
「その瑕疵をも承継する」とは、占有と瑕疵を承継するという意味ではなく、瑕疵のないことも瑕疵も承継するということと解されています。

このことは、例えば、Aが4年間善意占有、Bが7年間悪意占有していた場合、占有と瑕疵を承継するということにすぎないという意味であれば、Bに時効取得の可能性はありません。

cf. 民法162条 所有権の取得時効

民法191条 占有者による損害賠償

第191条 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。


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もう一歩先へ
  • 悪意の占有者は全部の賠償
  • 善意の占有者は、自分の物と思っているから、ぞんざいに使用するのも仕方がないので、現に利益を受けている限度において賠償
  • しかし、所有の意思のない善意の占有者は、自分の物でないと知っているので全部の賠償