第550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
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「撤回」を「解除」に改めたことに伴い、解除権に関する総則的な規定(民法540条、民法544条~民法548条)が書面によらない贈与について適用になるかが問題となります。
この点については、贈与の無償性などにかんがみ、書面によらない贈与の解除について適用されるのは、民法540条及び民法544条に限られるものと解されます。
cf. 民法540条 解除権の行使 cf. 民法544条 解除権の不可分性 もう一歩先へ
cf.
最判昭40・3・26(昭和39(オ)370 所有権移転登記抹消請求) 全文
判示事項
不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了。
裁判要旨
不動産の贈与契約にもとづいて該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第五五〇条にいう履行が終つたものと解すべきである。
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受贈者に対する書面でなく、贈与者と第三者との間で作成された調停調書であっても「書面」として認めています。
cf.
最判昭53・11・30(昭和53(オ)831 土地所有権移転登記手続) 全文
判示事項
民法五五〇条所定の書面にあたるとされた事例
裁判要旨
甲が乙を相手方として申し立てた財産処分禁止請求調停事件に丙が利害関係人として参加して調停が成立し、調停調書に「乙は、その所有地のうち約四五坪(別紙図面記載の丙所有部分)を除いた部分を処分しようとするときには、甲と約一〇日前に相談のうえでする」旨の条項が記載されたが、右調停調書において丙所有部分として約四五坪の土地が除外されたのは、右調停に際し、乙から丙に対し右土地を贈与する合意が成立したためであるときは、右調停調書は、乙、丙間の贈与について作成された民法五五〇条所定の書面にあたる。