民法964条 包括遺贈及び特定遺贈

第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。


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施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法の施行期日

2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

改正前民法964条 包括遺贈及び特定遺贈

改正前民法964条ただし書が削除されました。

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包括遺贈は、相続人を増やすのと同じ効果があります。

cf. 民法990条 包括受遺者の権利義務

しかしながら、受遺者には遺留分の適用がないので、包括受遺者は、財産が遺留分より少ないとか、代襲相続の規定も適用がないので、包括受遺者が亡くなっても、その子が代わりにもらうことはありません。

cf. 民法965条 相続人に関する規定の準用
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包括遺贈には債務(マイナスの資産)が含まれるのに対し、特定遺贈ではプラスの資産だけであり、債務は含まれません。

また、遺言者が「所有する」全ての財産、「有する」全ての資産、と記載することがありますが、「所有する」という場合は債務などのマイナスの資産は含みません(「債務を所有する」とはいいません。)。
「有する」という場合は、債務を負担するという意味にも用いられ、プラスの資産だけでなくマイナスの資産も含むと考えられます。

しがたって、包括遺贈の場合には、「有する資産(「債務、費用等を含む」と記載しておけば誤解が防げます)」を使い、特定遺贈の場合には「所有する資産(例 不動産、預貯金等)」と記載することが正確な用語となります。

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cf. 最判昭39・3・6(第三者異議) 全文

判示事項
 不動産の遺贈と民法第一七七条の第三者。

裁判要旨
 甲からその所有不動産の遺贈を受けた乙がその旨の所有権移転登記をしない間に、甲の相続人の一人である丙に対する債権者丁が、丙に代位して同人のために前記不動産につき相続による持分取得の登記をなし、ついでこれに対し強制競売の申立をなし、該申立が登記簿に記入された場合においては、丁は、民法第一七七条にいう第三者に該当する。

cf. 民法177条 不動産に関する物権の変動の対抗要件
cf. 民法1013条 遺言の執行の妨害行為の禁止

戸籍法107条 氏名の変更(氏について)

第百七条 やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
 
2 外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
 
3 前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
 
4 第一項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。


e-Gov 戸籍法

 

もう一歩先へ 1項:

民法5条 未成年者の法律行為

第5条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
 
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
 
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。


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もう一歩先へ 1項:
これは法定代理人に包括代理権を与える趣旨であり、日常生活に関する法律行為であっても法定代理人の同意は必要となります。

cf. 民法9条 成年被後見人の法律行為

民法962条 遺言能力(制限能力制度の廃除)

第962条 第五条第九条第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。


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遺言は本人の独立の意思に基づくことを要するので、制限能力の制度は適用されません。代理も許されません。

cf. 民法973条 成年被後見人の遺言

cf. 民法961条 遺言能力(未成年者について)