民法616条の2 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了

第616条の2 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。


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賃借物の一部滅失等により、その目的を達することができないときには、賃借人は契約を解除することができます。

cf. 民法611条2項 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等

民法612条 賃借権の譲渡及び転貸の制限

第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
 
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。


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cf. 最判昭28・9・25(建物収去土地明渡請求) 全文

判示事項
 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか

裁判要旨
 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。(少数意見および補足意見がある。)

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cf. 最判昭41・1・27(建物収去土地明渡請求) 全文

判示事項
 無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任。

裁判要旨
 賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきである。

民法1038条 配偶者による使用

第1038条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
 
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
 
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。


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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ 1項・2項:
配偶者短期居住権は、建物を無償で使用することができる権利であるため、使用貸借とその性質が類似していることから、使用貸借に関する594条1項・2項と同様の趣旨の規定となっています。

cf. 民法594条 使用貸借の借主による使用及び収益
もう一歩先へ 3項
配偶者短期居住権の消滅請求については、使用貸借に関する594条3項と同じく、無催告ですることができます。

cf. 民法594条 使用貸借の借主による使用及び収益

配偶者居住権の消滅請求については、配偶者に対する是正の催告を必要なものとしています。
これは配偶者は自らの具体的相続分において配偶者居住権をしていることと、配偶者居住権は審判での設定も認められているなど、必ずしも当事者間の信頼関係に基づくものとはいえないこと等を考慮したものです。

cf. 民法1032条4項 配偶者による使用及び収益

民法88条 天然果実及び法定果実

第88条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
 
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。


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果実を生み出す物を元物(げんぶつ)と言います。

cf. 民法89条 果実の帰属

牛乳やくだもののように、自然法則に従って生み出される物を天然果実、当事者間の契約や法律の定めによって発生する利益を法定果実と言います。

民法89条 果実の帰属

第89条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
 
2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。


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もう一歩先へ 2項:
cf. 最判平17.9.8(共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力) 全文
裁判要旨
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。