改正前民法424条 詐害行為取消権

第424条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
 
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

 
cf. 民法424条 詐害行為取消請求
 

民法424条 詐害行為取消請求

第424条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない
 
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
 
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
 
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。


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改正前民法424条 詐害行為取消権

 
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cf. 最判昭39・6・12(約束手形金請求) 全文

判示事項
 詐害行為取消権の行使の方法。

裁判要旨
 詐害行為取消権の行使は、訴の方法によるべきであつて、抗弁の方法によることは許されない。

cf. 破産法173条1項 否認権の行使
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cf.最判昭46・11・19(売掛代金請求)
 全文

判示事項
 金銭の支払を求める詐害行為取消訴訟手続において被告は自己の債権額に対応する按分額の支払を拒むことができるか

裁判要旨
 債権者が、受益者を被告として、債務者の受益者に対する弁済行為を取り消し、かつ、右取消にかかる弁済額の支払を求める詐害行為取消訴訟手続において、被告は、右弁済額を原告の債権額と自己の債権額とで按分し、後者に対応する按分額につき、支払を拒むことはできない。

もう一歩先へ 2項:
最判昭49.9.20(詐害行為取消、株金等支払請求) 全文
詐害行為となるのは財産的行為に限られ、相続放棄のような身分行為は詐害行為取消権の対象とはなりません。

判示事項
 相続の放棄と詐害行為取消権

裁判要旨
 相続の放棄は、民法四二四条の詐害行為取消権行使の対象とならない。

民法424条の2 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則

第424条の2 債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、受益者から相当の対価を取得しているときは、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。
 
 一 その行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、債務者において隠匿、無償の供与その他の債権者を害することとなる処分(以下この条において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
 
 二 債務者が、その行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
 
 三 受益者が、その行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。


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民法424条の3 特定の債権者に対する担保の供与等の特則

第424条の3 債務者がした既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。
 一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一号において同じ。)の時に行われたものであること。
 
 二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
 
2 前項に規定する行為が、債務者の義務に属せず、又はその時期が債務者の義務に属しないものである場合において、次に掲げる要件のいずれにも該当するときは、債権者は、同項の規定にかかわらず、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。
 一 その行為が、債務者が支払不能になる前三十日以内に行われたものであること。
 
 二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。


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偏頗行為(特定の債権者に対する担保の供与に関する行為や、対価的に均衡のとれた特定の債権者に対する債務の消滅に関する行為)について規定しています。

対価的な均衡を欠く債務消滅行為については、民法424条の4で規定しています。

民法424条の4 過大な代物弁済等の特則

第424条の4 債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第四百二十四条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。


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対価的な均衡を欠く債務消滅行為について規定しています。

消滅した債務の額に相当する部分は、対価的に均衡のとれた債務の消滅に関する民法424条の3、それを超える部分については原則規定である民法424条が適用されます。