会社法797条 反対株主の株式買取請求

第797条 吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第七百九十六条第二項本文に規定する場合(第七百九十五条第二項各号に掲げる場合及び第七百九十六条第一項ただし書又は第三項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
 
2 前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
 一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
  イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該存続株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
  ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
 二 前号に規定する場合以外の場合 全ての株主(第七百九十六条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)
 
3 存続株式会社等は、効力発生日の二十日前までに、その株主(第七百九十六条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに消滅会社等の商号及び住所(第七百九十五条第三項に規定する場合にあっては、吸収合併等をする旨、消滅会社等の商号及び住所並びに同項の株式に関する事項)を通知しなければならない。
 
4 次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
 一 存続株式会社等が公開会社である場合
 二 存続株式会社等が第七百九十五条第一項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合
 
5 第一項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6 株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、存続株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
 
7 株式買取請求をした株主は、存続株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
 
8 吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
 
9 第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。


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会社法796条 吸収合併契約等の承認を要しない場合等

第796条 前条第一項から第三項までの規定は、吸収合併消滅会社、吸収分割会社又は株式交換完全子会社(以下この目において「消滅会社等」という。)が存続株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合であって、存続株式会社等が公開会社でないときは、この限りでない。
 
2 前条第一項から第三項までの規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を存続株式会社等の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同条第二項各号に掲げる場合又は前項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
 一 次に掲げる額の合計額
  イ 吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この号において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する存続株式会社等の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
  ロ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
  ハ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
 二 存続株式会社等の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
 
3 前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第一項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第七百九十七条第三項の規定による通知又は同条第四項の公告の日から二週間以内に吸収合併等に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したときは、当該存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。


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法務省令 2項2号:
法務省令 3項:

民法477条 預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済

第477条 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。


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新設

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民法478条 受領権者としての外観を有する者に対する弁済

第478条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。


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改正前民法478条 債権の準占有者に対する弁済

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表見代理が成立していない場合であっても、債権の準占有者に対してした弁済は有効となる場合があります。

cf. 最判昭37・8・21(納品代金請求) 全文

判示事項
 一 債権者の代理人と称して債権を行使する者に対する民法第四七八条の適用の有無
 二 債権の準占有者に対する弁済と弁済者の善意無過失

裁判要旨
 一 債権者の代理人と称して債権を行使する者についても民法第四七八条が適用される。
 二 債権の準占有者に対する弁済が有効とされるためには、弁済者が善意かつ無過失であることを要する。

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cf. 最判平15・4・8(預託金返還請求事件) 全文

判示事項
 1 現金自動入出機による預金の払戻しと民法478条の適用の有無
 2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというための要件
 3 無権限者が預金通帳を使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて銀行に過失があるとされた事例

裁判要旨
 1 現金自動入出機による預金の払戻しについても民法478条が適用される。
 2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというためには,銀行において,上記方法により預金の払戻しが受けられる旨を預金者に明示すること等を含め,現金自動入出機を利用した預金の払戻しシステムの設置管理の全体について,可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くしていたことを要する。
 3 預金通帳を使用し暗証番号を入力すれば現金自動入出機から預金の払戻しを受けられるシステムになっているのに,銀行がそのことを預金規定等に規定して預金者に明示することを怠っていたなど判示の事実関係の下では,銀行は,真正な預金通帳が使用され,入力された暗証番号が届出暗証番号と一致することが機械的に確認された場合であっても,無権限者が現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて過失がある。