民法1013条 遺言の執行の妨害行為の禁止

第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
 
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
 
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。


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施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法の施行期日

2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

改正前民法1013条 遺言の執行の妨害行為の禁止

もう一歩先へ 1項:
遺言執行者がいる場合、相続人の処分権が喪失します。

特定財産承継遺言がされた場合に、受益相続人が対抗要件である登記を備えることは、「その他遺言の執行を妨げるべき行為」に該当しないため、遺言執行者がいる場合でも、受益相続人は単独で相続による権利の移転の登記を申請することができます。

cf. 民法1014条2項 特定財産に関する遺言の執行
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cf. 最判昭62.4.23(第三者異議) 全文

判示事項
 一 遺言執行者がある場合と遺贈の目的物についての受遺者の第三者に対する権利行使

二 民法一〇一三条に違反してされた相続人の処分行為の効力

三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前と民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」

裁判要旨
 一 遺言者の所有に属する特定の不動産の受遺者は、遺言執行者があるときでも、所有権に基づき、右不動産についてされた無効な抵当権に基づく担保権実行としての競売手続の排除を求めることができる。

二 遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効である。

三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前であつても、民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」に当たる。

cf. 民事執行法38条 第三者異議の訴え