民法30条 失踪の宣告

第30条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
 
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。


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本条1項の失踪を普通失踪、2項の失踪を特別失踪といいます。
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失踪宣告の申立ては、不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所になります。
cf. 家事事件手続法148条 失踪の宣告の審判事件
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失踪宣告等がなされた場合は、訴えを提起した者は、審判が確定してから10日以内に、市区町村役場に失踪の届出をしなければなりません。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要になります。
cf. 戸籍法94条 失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合の届出

cf. 失踪宣告@裁判所

cf. 失踪宣告の申立書@裁判所

cf. 失踪宣告手続の流れ@裁判所

民法31条 失踪の宣告の効力

第31条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす


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失踪宣告の効果は死亡と同様になります。すなわち、相続が発生し、婚姻が終了します。異なるところは、実際に死亡したわけではないため、本人の権利能力は失われません。本人のした契約が無効となる訳ではありません。

cf. 民法882条 相続開始の原因
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失踪宣告の効果が発生する時期は、普通失踪は7年の期間が満了して失踪宣告の申し立てができるようになったとき、特別失踪は危難が去ったとき(1年の期間の起算点)になります。船が沈没したなどの危難が去った時に死亡の可能性が高いためです。

民法744条 不適法な婚姻の取消し

第744条 第七百三十一条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
 
2 第七百三十二条又は第七百三十三条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。


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民法770条 裁判上の離婚

第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
 
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。


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被後見人に対する裁判上の離婚

成年被後見人が離婚について理解も意思表示もできない場合には、成年後見人を相手に離婚訴訟を提起することになります(人事訴訟法第14条第1項)。成年後見人は身分行為の代理をすることはできませんが、訴訟なら代理できます。

もし成年後見人が当該訴えに係る訴訟の相手方となるときは、成年後見人を監督する「成年後見監督人」を相手に訴訟を提起します(人事訴訟法第14条第2項)。

cf. 人事訴訟法14条 人事訴訟における訴訟能力等

民法32条 失踪の宣告の取消し

第32条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
 
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。


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原則、失踪宣告の取消により、死亡は遡及的になかったことになります。よって、相続により得た所有権は失われ、返還の対象になります。売買は他人物売買となります。失踪宣告後に婚姻をしていれば重婚状態になります。この場合、前婚は離婚原因(民法770条1項5号)、後婚が取消原因(前婚は適法な婚姻なので)となります。
cf. 民法770条 裁判上の離婚
cf. 民法732条 重婚の禁止
cf. 民法744条 不適法な婚姻の取消し
もう一歩先へ 1項:
例外1:善意でした行為(e.g. 売買、婚姻)の効力は影響されません。売買の場合ならば他人物売買にならず、返還義務も生じません。婚姻の場合ならば前婚は復活せず、重婚状態になりません。この場合の「善意」とは行為の当事者双方の善意を要するとされています(e.g. 売買、後婚をした者の双方が善意であること)。
もう一歩先へ 2項:
例外2:双方が善意の場合は1項が適用されますが、そうでない場合で、権利を得た者が善意の場合は2項が適用されます。

この場合は、現存利益の範囲で返還義務を負います。民法703条と同じ趣旨になります。

cf. 民法703条 不当利得の返還義務

悪意の場合は不当利得の悪意の受益者(民法704条)となり、受けた利益に利息を付して返還する義務を負います。

cf. 民法704条 悪意の受益者の返還義務等
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失踪宣告の取消しの申立ては、失踪者の住所地の家庭裁判所になります。
cf. 家事事件手続法149条 失踪の宣告の取消しの審判事件
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失踪宣告の取消しがなされた場合は、訴えを提起した者は、審判が確定してから10日以内に、市区町村役場に失踪の届出をしなければなりません。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要になります。
cf. 戸籍法94条 失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合の届出

死別定住 ~ ビザの道しるべ

日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(「日本人実子扶養定住」に該当する者を除きます。

次のいずれにも該当することが必要です。
 

  • 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
  • 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
  • 正常な婚姻関係・家庭生活があったこと
もう一歩先へ
配偶者と死別した場合は、死別してから14日以内に、出入国在留管理庁に、「配偶者に関する届出」を届出なければなりません。
cf. 入管法19条の16第3号 所属機関等に関する届出
cf. 配偶者に関する届出@法務省
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日本人と死別したときに、子供いる場合には「日本人実子扶養定住」、子供がいない場合には「死別定住」を検討することになります。
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「日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、例えば、申請書の記載や面接において、意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問いません。
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「正常な婚姻関係・家庭生活があったこと」とは、通常の夫婦として家庭生活を営んでいたことをいいます。別居していた期間があっても、3年程度以上、夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められれば、これに該当します。
cf. 告示外定住(定住者告示に定めがないもの)とは ~ ビザの道しるべ
 
参考 入国・在留審査要領第12編

改正前会社法39条 設立時役員等の人数等

第39条 設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、三人以上でなければならない。
 
2 設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、三人以上でなければならない。
 
3 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならない。
 
4 第三百三十一条第一項(第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十三条第一項若しくは第三項又は第三百三十七条第一項若しくは第三項の規定により成立後の株式会社の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時取締役(成立後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人(以下この節において「設立時役員等」という。)となることができない。


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もう一歩先へ 4項:
会社成立後の役員等になれない者は設立時役員等にもなれないことについて定めています。

会社法58条 設立時募集株式に関する事項の決定

第58条 発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類及び種類ごとの数。以下この款において同じ。)
 二 設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この款において同じ。)
 三 設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
 四 一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨及びその一定の日
 
2 発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
 
3 設立時募集株式の払込金額その他の前条第一項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。


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募集設立のみ

もう一歩先へ 3項:
募集事項については、募集ごとに均等に定めなければなりませんが、発起人については、このような定めはなく、払込金額が発起人ごとに異なることも認められます。

したがって、各発起人A、Bが割当てを受ける設立時発行株式の数を100株ずつとして、これと引き換えにAが払い込む金額を100万円、Bが払い込む金額を150万円とすることもできます。

cf. 会社法199条5項 募集事項の決定