民法1036条 使用貸借及び賃貸借の規定の準用

第1036条 第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置

民法1032条 配偶者による使用及び収益

第1032条 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
 
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
 
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
 
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ 1項ただし書き:
居住の用に供していた部分を営業の用に供するなどの、逆の用法変更は認められず、この場合は用法遵守違反となります。
もう一歩先へ 2項:
配偶者居住権は帰属上の一身専属権なので、その帰属主体は配偶者に限定され、これを譲渡することはできません。
 
配偶者が死亡した場合は、配偶者居住権は消滅(民法1036条 -> 民法597条3項)して、相続の対象にはなりません。

cf. 民法1036条 使用貸借及び賃貸借の規定の準用
cf. 民法597条3項 期間満了等による使用貸借の終了
 
もう一歩先へ 3項:
配偶者の家族や家事使用人は占有補助者にすぎす独立の占有を有しないと考えられているため、これら者を同居させても第三者に居住建物を使用収益させたことにはなりません。
もう一歩先へ 4項:
配偶者居住権の譲渡禁止(本条2項)に違反しただけでは消滅請求はできません。第三者に使用収益させて初めて配偶者居住権の消滅請求ができます。

cf. 民法612条 賃借権の譲渡及び転貸の制限

配偶者短期居住権の消滅請求(民法1038条3項)とは異なり、配偶者に対する是正の催告を必要としています。

cf. 民法1038条3項 配偶者による使用

民法1014条 特定財産に関する遺言の執行

第1014条 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
 
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
 
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
 
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


e-Gov 民法

 
民法1014条 特定財産に関する遺言の執行

もう一歩先へ 2項:
相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)がされば場合には、不動産登記法63条2項により、遺言執行者は単独で相続登記をすることができます。

cf. 不動産登記法63条2項 判決による登記等

受益の相続人が相続登記をすることは「遺言の執行を妨げる行為」(民法1013条1項)に当たらないので、遺言執行者がいる場合でも、受益の相続人は単独で相続登記をすることができます。

cf. 民法1013条1項 遺言の執行の妨害行為の禁止
もう一歩先へ 3項:
預貯金債権を目的とする特定財産承継遺言がされた場合の遺言執行者の権限を定めたものです。預貯金債権が遺贈された場合については適用されません。

預貯金債権が遺贈された場合の遺言執行者の権限については、解釈に委ねられると考えられます。

民法857条の2 未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等

第857条の2 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
 
2 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
 
3 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
 
4 家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
 
5 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。


e-Gov 民法

民法859条の2 成年後見人が数人ある場合の権限の行使等

第859条の2 成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
 
2 家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
 
3 成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。


e-Gov 民法

民法20条 制限行為能力者の相手方の催告権

第20条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
 
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
 
3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
 
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
取消すか追認するかどっちかに確定して下さいということを催告します。
 
催促するだけなら法律の定めがなくてもできますが、本条の催告権は相手方から返事がないときに意味があります。

催告に対して相手方が不誠実にも返事をしてこなかった場合は、追認をしたことになるのが原則です。

催告した相手が、法定代理人や能力を回復した後の制限行為能力者などの、追認も取消しもできる者に対し、催告をした場合に、返事をしてくれなかった場合は、追認をしたものとみなされ、取消せなくなります。

被保佐人や被補助人に対して催告した場合に、返事がない場合は、取消されたものとみなされます。被保佐人や被補助人はもともと単独で追認することができないため、取消されたものとみなされます。

cf. 民法124条 追認の要件

未成年者や成年被後見人には意思表示の受領能力がないため、未成年者や成年被後見人に対して催告した場合に、返事がなくても何の意味もありません。

cf. 民法98条の2 意思表示の受領能力
もう一歩先へ
意思表示については、到達主義を原則としていますが、本条は発信主義をとっています。

cf. 民法97条 意思表示の効力発生時期等