民法605条 不動産賃貸借の対抗力

第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。


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改正前民法605条 不動産賃貸借の対抗力

民法605条の4 不動産の賃借人による妨害の停止の請求等

第605条の4 不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
 
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
 
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求


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民法1031条 配偶者居住権の登記等

第1031条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
 
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。


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もう一歩先へ
施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ 1項:
配偶者居住権の設定の登記は、配偶者と居住建物の所有者が共同で申請をするのが原則です。

cf. 不動産登記法60条 共同申請

居住建物の所有者が登記に協力しない場合には、配偶者は、登記義務の履行を求める訴えを提起し、これを認容する判決が確定すれば、判決に基づき、単独で登記をすることができます。

cf. 不動産登記法63条 判決による登記等
もう一歩先へ 2項:
配偶者居住権を第三者に対抗するには、配偶者居住権の設定の登記をする必要があります。

cf. 民法605条 不動産賃貸借の対抗力

民法1036条 使用貸借及び賃貸借の規定の準用

第1036条 第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。


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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置

民法1032条 配偶者による使用及び収益

第1032条 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
 
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
 
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
 
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。


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もう一歩先へ
施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ 1項ただし書き:
居住の用に供していた部分を営業の用に供するなどの、逆の用法変更は認められず、この場合は用法遵守違反となります。
もう一歩先へ 2項:
配偶者居住権は帰属上の一身専属権なので、その帰属主体は配偶者に限定され、これを譲渡することはできません。
 
配偶者が死亡した場合は、配偶者居住権は消滅(民法1036条 -> 民法597条3項)して、相続の対象にはなりません。

cf. 民法1036条 使用貸借及び賃貸借の規定の準用
cf. 民法597条3項 期間満了等による使用貸借の終了
 
もう一歩先へ 3項:
配偶者の家族や家事使用人は占有補助者にすぎす独立の占有を有しないと考えられているため、これら者を同居させても第三者に居住建物を使用収益させたことにはなりません。
もう一歩先へ 4項:
配偶者居住権の譲渡禁止(本条2項)に違反しただけでは消滅請求はできません。第三者に使用収益させて初めて配偶者居住権の消滅請求ができます。

cf. 民法612条 賃借権の譲渡及び転貸の制限

配偶者短期居住権の消滅請求(民法1038条3項)とは異なり、配偶者に対する是正の催告を必要としています。

cf. 民法1038条3項 配偶者による使用

民法1014条 特定財産に関する遺言の執行

第1014条 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
 
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
 
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
 
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


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民法1014条 特定財産に関する遺言の執行

もう一歩先へ 2項:
相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)がされば場合には、不動産登記法63条2項により、遺言執行者は単独で相続登記をすることができます。

cf. 不動産登記法63条2項 判決による登記等

受益の相続人が相続登記をすることは「遺言の執行を妨げる行為」(民法1013条1項)に当たらないので、遺言執行者がいる場合でも、受益の相続人は単独で相続登記をすることができます。

cf. 民法1013条1項 遺言の執行の妨害行為の禁止
もう一歩先へ 3項:
預貯金債権を目的とする特定財産承継遺言がされた場合の遺言執行者の権限を定めたものです。預貯金債権が遺贈された場合については適用されません。

預貯金債権が遺贈された場合の遺言執行者の権限については、解釈に委ねられると考えられます。

民法857条の2 未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等

第857条の2 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
 
2 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
 
3 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
 
4 家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
 
5 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。


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