改正前民法968条 自筆証書遺言

第968条  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
 
2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

 
cf. 民法968条 自筆証書遺言

改正前民法970条 秘密証書遺言

第970条  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
 一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
 二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
 三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨
並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
 四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び
証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
 
2  第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

民法1050条 特別の寄与

第1050条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
 
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。
 
3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
 
4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
 
5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

被相続人に対する療養看護等が施行日前に行われた場合でも、施行日後に相続が開始した場合には適用されます。

施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日

参考 改正相続法の施行期日
もう一歩先へ
被相続人の療養看護等に尽くした相続人以外の被相続人の親族の貢献に報いるため、特別の寄与の制度が設けられました。

寄与分は、相続人にのみ認められています。

cf. 民法904条の2第1項 寄与分
 
もう一歩先へ
被相続人の親族であることの基準時は、被相続人の相続開始時を基準として判断することが想定されています。

例えば、相続開始時には被相続人の親族ではなくなっていた場合とは、被相続人の療養看護をしていた被相続人の親族が、離婚した場合等が考えられます。

cf. 民法725条 親族の範囲
もう一歩先へ
改正前民法での対応として次のもの等が考えられます。

  1. 特別縁故者の制度 
    cf. 民法958条の3 特別縁故者に対する相続財産の分与
  2. 準委任契約に基づく請求 cf. 民法656条 準委任
  3. 事務管理に基づく費用償還請求 
    cf. 民法697条 事務管理
  4. 不当利得返還請求 
    cf. 民法703条 不当利得の返還義務
  5. 被相続人が遺贈すること
  6. 被相続人との間で養子縁組をすること
もう一歩先へ 2項:
特別の寄与に関する処分の手続については、遺産分割の前提問題ではないため、寄与分に関する規定と異なり、遺産分割手続と独立して、家庭裁判所に対して特別寄与料の額を定めることを請求することができます。

cf. 民法904条の2第4項 寄与分

cf. 家事事件手続法216条の2 特別の寄与に関する審判事件の管轄

cf. 家事事件手続法216条の5 特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分
もう一歩先へ 4項:
遺贈とは、特定遺贈のことで、包括遺贈や特定財産承継遺言は含まれないと解されます。

cf. 民法990条 包括受遺者の権利義務

改正前民法891条 相続人の欠格事由

第891条  次に掲げる者は、相続人となることができない。

 一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
 
 二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
 
 三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
 
 四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
 
 五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

改正前民法901条 代襲相続人の相続分

第901条  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
 
2  前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する