第1002条 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
改正前民法500条 法定代位
第500条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。
民法500条 弁済による代位の要件
改正前民法501条 弁済による代位の効果
第501条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。
民法501条 弁済による代位の効果
第501条 前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
2 前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。
3 第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。
四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。
代位弁済は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保するために、法の規定によって弁済により消滅するはずの原債権及び担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者が求償権の範囲内で原債権及び担保権を行使することを認める制度であるとし、したがって、担保権の被担保債権は原債権であり、代位弁済者が優先弁済を受けるのは、求償権ではなく、原債権であるとする。
cf. 最判昭59・5・29(昭和55(オ)351 配当異議) 全文判示事項
一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力
裁判要旨
一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
代位弁済者が原債権及び担保権を行使して訴訟においてその給付又は確認を請求する場合には、それによつて確保されるべき求償権の成立、債権の内容を主張立証しなければならない。
cf. 最判昭61・2・20(昭和58(オ)881 求償債務履行) 全文判示事項
代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示
裁判要旨
代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。
判示事項
保証人・物上保証人の両資格を兼ねる者と弁済による代位の割合
裁判要旨
保証人又は物上保証人とその両資格を兼ねる者との間の弁済による代位の割合は、両資格を兼ねる者も一人として、全員の頭数に応じた平等の割合であると解するのが相当である。
判示事項
担保権の設定された物件が弁済までの間に共同相続により共有となった場合における民法五〇一条五号にいう「頭数」の意義
裁判要旨
民法五〇一条五号にいう「頭数」は、単独所有であった物件に担保権が設定された後、これが弁済までの間に共同相続により共有となった場合には、弁済の時における物件の共有持分権者をそれぞれ一名として数えるべきである。
(反対意見がある。)
判示事項
一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力
裁判要旨
一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
判示事項
代位弁済をした保証人に対して債務者のした内入金の支払と求償権及び原債権に対する弁済関係
裁判要旨
保証人が債権者に代位弁済をしたのちに、債務者から保証人に対して内入金の支払がされたときは、保証人が代位弁済によつて取得した求償権と債権者に代位した原債権とのそれぞれにつき内入弁済があつたものと解すべきである。
改正前民法502条 一部弁済による代位
第502条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する。
2 前項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。
cf.
民法502条 一部弁済による代位
民法502条 一部弁済による代位
第502条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。
2 前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。
3 前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。
4 第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。
判示事項
不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額
裁判要旨
不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がない限り,上記売却代金につき,債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける。