民法481条 差押えを受けた債権の第三債務者の弁済

第481条 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
 
2 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。


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改正前民法481条 支払の差止めを受けた第三債務者の弁済

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民法482条 代物弁済

第482条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。


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改正前民法482条 代物弁済

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cf. 最判昭39・11・26(昭和37(オ)1051 貸金請求) 全文

判示事項
 民法第四八二条にいう「他ノ給付」が不動産の所有権を移転することにある場合と代物弁済成立の要件。

裁判要旨
 民法第四八二条にいう「他ノ給付」が不動産の所有権を移転することにある場合には、当事者がその意思表示をするだけではたりず、登記その他引渡行為を終了し、第三者に対する対抗要件を具備したときでなければ、代物弁済は成立しないと解すべきである。

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cf. 最判昭57・6・4(昭和57(オ)111 所有権移転登記抹消登記手続) 全文

判示事項
 不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期

裁判要旨
 不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより該不動産の所有権移転の効果が生ずる。

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既存債務の履行に「代えて」約束手形を振り出し、それにより既存債務を消滅させる合意は代物弁済になるのに対し、履行の「ために」振り出した場合には代物弁済とはならず、本来の債権は消滅しません。当事者の意思が明らかでない場合には後者と推定されます
 
cf. 最判昭23・10・14(昭和23(オ)12  貸金請求) 全文

判示事項
 一 手形の授受と既存債務の担保の推定。
 二 既存債務の担保の手形と請求順序。
 三 既存債務の担保の手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つた場合と既存債務の行使。

裁判要旨
 一 手形が既存債務の支払確保のため振り出された場合、当事者間に別段の意思表示がなく、且つ、債務者自身が手形上の唯一の義務者であるときは、右手形の授受は、既存債務の担保のためになされたものと推定するのが相当である。
 二 手形が既存債務の担保のため授受せられた場合には、債権者は、既存の債権と手形上の権利とのいずれをも任意に選択して行使することができる。
 三 手形が既存の貸金債務の担保のため授受せられた場合、その手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つたため、手形上の権利の行使ができなくなつても、既存の貸金債権を行使することは妨げない。

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代物弁済契約は、本来債務の発生原因となる契約が解除された場合には、代物弁済の合意は遡及消滅し、代物弁済契約による所有権移転の効果も遡って失われる

cf. 最判昭60・12・20(昭和58(オ)706  損害賠償本訴、契約金返還反訴) 全文

判示事項
 債務者が代物弁済に供した不動産をその登記未了の間に第三者に譲渡したがその後代物弁済契約が遡つて失効した場合と債権者に対する不法行為責任の有無

裁判要旨
  債務者が、債権者に対し賃借権譲受代金債務の支払に代えて不動産を譲渡した後その登記未了の間に、これを第三者に二重に譲渡し登記を経由した場合であつても、右賃借権譲渡契約が解除されて右債務が遡つて消滅し、代物弁済契約による所有権移転の効果も遡つて失われたときは、債務者は債権者に対し、右不動産の所有権侵害による不法行為責任を負わない。

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cf. 最判昭43・11・19(昭和43(オ)822  貸金請求) 全文

判示事項
 不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済をする場合に債務消滅に関する特約が有効とされた事例

裁判要旨
 債務者が不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済をする場合でも、債権者が右不動産の所有権移転登記手続に必要な一切の書類を債務者から受領しただけでただちに代物弁済による債務消滅の効力を生ぜしめる旨の特約が存するときには、債権者が債務者から右書類を受領した時に、代物弁済による債務消滅の効力が生ずる。

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cf. 最判昭40・4・30(昭和39(オ)665 債務不存在確認等) 全文

判示事項
 不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済をする場合における債務消滅の要件。

裁判要旨
 不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済をする場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によつて生ずるものと解すべきである。

民法483条 特定物の現状による引渡し

第483条 債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。


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改正前民法483条 特定物の現状による引渡し

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民法484条 弁済の場所及び時間

第484条 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
 
2 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。


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改正前民法484条 弁済の場所

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もう一歩先へ 1項:
「財産権上の訴え」の場合、「義務履行地」が裁判所の管轄となります。

cf. 民事訴訟法5条1号 財産権上の訴え等についての管轄

例えば、請負代金債権の場合、義務履行地は、「債権者の現在の住所」になります。

民法485条 弁済の費用

第485条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。


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e.g.振込手数料、運送費、荷造費
cf. 民法558条 売買契約に関する費用