第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
もう一歩先へ
相続するかどうかを相続人の意思にかからしめる規定です。
被相続人の死亡だけでなく、自分が相続人であることを知ってから期間が計算されます。
相続開始前の放棄の意思表示は無効です。
cf. 民法917条 相続の承認又は放棄をすべき期間(相続人が未成年者又は成年被後見人であるとき) cf. 民法938条 相続の放棄の方式熟慮期間の起算においては、初日は算入しません。
cf. 民法140条 期間の起算(日、週、月又は年によって期間を定めたとき)包括受遺者も、ここにいう「相続人」に含まれるので、熟慮期間中に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。
cf. 民法990条 包括受遺者の権利義務 もう一歩先へ
cf.
裁判所59・4・27(貸金等) 全文
判示事項
民法九一五条一項所定の熟慮期間について相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当であるとされる場合
裁判要旨
相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から三か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には、民法九一五条一項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である。