民法744条 不適法な婚姻の取消し

第744条 第七百三十一条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
 
2 第七百三十二条又は第七百三十三条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。


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民法770条 裁判上の離婚

第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
 
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。


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被後見人に対する裁判上の離婚

成年被後見人が離婚について理解も意思表示もできない場合には、成年後見人を相手に離婚訴訟を提起することになります(人事訴訟法第14条第1項)。成年後見人は身分行為の代理をすることはできませんが、訴訟なら代理できます。

もし成年後見人が当該訴えに係る訴訟の相手方となるときは、成年後見人を監督する「成年後見監督人」を相手に訴訟を提起します(人事訴訟法第14条第2項)。

cf. 人事訴訟法14条 人事訴訟における訴訟能力等
 
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cf. 最大判昭62・9・2(昭和61(オ)260  離婚) 全文

判示事項
 一 長期間の別居と有責配偶者からの離婚請求

 二 有責配偶者からの離婚請求が長期間の別居等を理由として認容すべきであるとされた事例

裁判要旨
 一 有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によつて精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできない。

 二 有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦が三六年間別居し、その間に未成熟子がいないときには、相手方配偶者が離婚によつて精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、認容すべきである。

(一につき補足意見、一、二につき意見がある。)

 
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cf. 最判平2・11・8(平成1(オ)1039 離婚等) 全文

判示事項
 有責配偶者からの離婚請求において別居期間が相当の長期間に及んだものとされた事例

裁判要旨
 有責配偶者である夫からされた離婚請求において、夫が別居後の妻子の生活費を負担し、離婚請求について誠意があると認められる財産関係の清算の提案をしているなど判示の事情のあるときは、約八年の別居期間であっても、他に格別の事情のない限り、両当事者の年齢及び同居期間との対比において別居期間が相当の長期間に及んだと解すべきである。

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cf. 最判平6・2・8(平成5(オ)950 離婚) 全文

判示事項
 未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求が認容された事例

裁判要旨
 有責配偶者である夫からされた離婚請求であっても、別居が一三年余に及び、夫婦間の未成熟の子は三歳の時から一貫して妻の監護の下で育てられて間もなく高校を卒業する年齢に達していること、夫が別居後も妻に送金をして子の養育に無関心ではなかったこと、夫の妻に対する離婚に伴う経済的給付も実現が期待できることなど判示の事実関係の下においては、右離婚請求は、認容されるべきである。

民法32条 失踪の宣告の取消し

第32条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
 
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。


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原則、失踪宣告の取消により、死亡は遡及的になかったことになります。よって、相続により得た所有権は失われ、返還の対象になります。売買は他人物売買となります。失踪宣告後に婚姻をしていれば重婚状態になります。この場合、前婚は離婚原因(民法770条1項5号)、後婚が取消原因(前婚は適法な婚姻なので)となります。
cf. 民法770条 裁判上の離婚
cf. 民法732条 重婚の禁止
cf. 民法744条 不適法な婚姻の取消し
もう一歩先へ 1項:
例外1:善意でした行為(e.g. 売買、婚姻)の効力は影響されません。売買の場合ならば他人物売買にならず、返還義務も生じません。婚姻の場合ならば前婚は復活せず、重婚状態になりません。この場合の「善意」とは行為の当事者双方の善意を要するとされています(e.g. 売買、後婚をした者の双方が善意であること)。
もう一歩先へ 2項:
例外2:双方が善意の場合は1項が適用されますが、そうでない場合で、権利を得た者が善意の場合は2項が適用されます。

この場合は、現存利益の範囲で返還義務を負います。民法703条と同じ趣旨になります。

cf. 民法703条 不当利得の返還義務

悪意の場合は不当利得の悪意の受益者(民法704条)となり、受けた利益に利息を付して返還する義務を負います。

cf. 民法704条 悪意の受益者の返還義務等
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失踪宣告の取消しの申立ては、失踪者の住所地の家庭裁判所になります。
cf. 家事事件手続法149条 失踪の宣告の取消しの審判事件
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失踪宣告の取消しがなされた場合は、訴えを提起した者は、審判が確定してから10日以内に、市区町村役場に失踪の届出をしなければなりません。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要になります。
cf. 戸籍法94条 失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合の届出

死別定住 ~ ビザの道しるべ

日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(「日本人実子扶養定住」に該当する者を除きます。

次のいずれにも該当することが必要です。
 

  • 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
  • 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
  • 正常な婚姻関係・家庭生活があったこと
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配偶者と死別した場合は、死別してから14日以内に、出入国在留管理庁に、「配偶者に関する届出」を届出なければなりません。
cf. 入管法19条の16第3号 所属機関等に関する届出
cf. 配偶者に関する届出@法務省
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日本人と死別したときに、子供いる場合には「日本人実子扶養定住」、子供がいない場合には「死別定住」を検討することになります。
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「日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、例えば、申請書の記載や面接において、意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語試験に合格していることまでは問いません。
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「正常な婚姻関係・家庭生活があったこと」とは、通常の夫婦として家庭生活を営んでいたことをいいます。別居していた期間があっても、3年程度以上、夫婦としての相互扶助、交流が継続して認められれば、これに該当します。
cf. 告示外定住(定住者告示に定めがないもの)とは ~ ビザの道しるべ
 
参考 入国・在留審査要領第12編

改正前会社法39条 設立時役員等の人数等

第39条 設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、三人以上でなければならない。
 
2 設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、三人以上でなければならない。
 
3 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならない。
 
4 第三百三十一条第一項(第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十三条第一項若しくは第三項又は第三百三十七条第一項若しくは第三項の規定により成立後の株式会社の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時取締役(成立後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人(以下この節において「設立時役員等」という。)となることができない。


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もう一歩先へ 4項:
会社成立後の役員等になれない者は設立時役員等にもなれないことについて定めています。

会社法58条 設立時募集株式に関する事項の決定

第58条 発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類及び種類ごとの数。以下この款において同じ。)
 二 設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この款において同じ。)
 三 設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
 四 一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨及びその一定の日
 
2 発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
 
3 設立時募集株式の払込金額その他の前条第一項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。


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募集設立のみ

もう一歩先へ 3項:
募集事項については、募集ごとに均等に定めなければなりませんが、発起人については、このような定めはなく、払込金額が発起人ごとに異なることも認められます。

したがって、各発起人A、Bが割当てを受ける設立時発行株式の数を100株ずつとして、これと引き換えにAが払い込む金額を100万円、Bが払い込む金額を150万円とすることもできます。

cf. 会社法199条5項 募集事項の決定

民法117条 無権代理人の責任

第117条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
 
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
 二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
 三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。


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改正前民法117条 無権代理人の責任

もう一歩先へ 2項1号、2号:
無権代理人の責任を追求するには、原則として、善意・無過失が必要です。
もう一歩先へ 2項3号:
代理人としての行為自体が無効であれば、無権代理人としての責任は負わないと解されます。

意思能力のない者が代理人とした行為は無効なため、特に規定しなくとも、意思能力のない者は当然に無権代理人の責任を負いません。

cf. 民法3条の2 意思能力
 

民法819条 離婚又は認知の場合の親権者

第819条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
 
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
 
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
 
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
 
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
 
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。


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