国籍法16条 国籍喪失の宣告による国籍の当然喪失

第16条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
 
2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
 
3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
 
4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
 
5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。


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国籍法10条 帰化の許可

第10条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
 
2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。


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もう一歩先へ 2項:
帰化の効力は告示の日の午前0時から効力が生じると解されています。

したがって、帰化者の子が告示の日に出生した場合には、その子は日本国民の子ということになります。

帰化を許可された者は、公法上も私法上も生来の日本人と何らの違いはありません。

cf. 旧国籍法16条 帰化人の権利制限
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帰化申請が許可されると法務局から「帰化者の身分証明書」が交付されます。

「帰化者の身分証明書」を添付して帰化の届を帰化者の所在地の市区町村役場にする事で、日本の戸籍が編製されます。新本籍地に届出することもできます。

cf. 戸籍法25条 届出地

記載事項は共通する事項のほか、帰化届に特有の事項がさだめられています。

cf. 戸籍法29条 届書に共通する記載事項
cf. 戸籍法102条の2 帰化の届出
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行政不服審査法は、帰化に関する処分を不服申立ての対象から外しています。

cf. 行政不服審査法7条1項10号 適用除外

国籍法8条 帰化の条件(日本国民の子等)

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
 
 三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの


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もう一歩先へ
住所条件、能力条件及び生計条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1号、2号及び4号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民の子」とは、帰化申請の時点で、父又は母が日本国民であればかまいません。その父又は母が死亡している場合には、死亡時に日本国民であった場合も含まれます。

「日本国民であった者の子」である場合は、国籍法6条1号が適用されます。この場合には、引き続き三年以上日本に住所又は居所があることが条件となります。

cf. 国籍法6条1号 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

共に外国籍の父母の20歳未満の子が帰化申請をする場合は、能力条件を満たしませんが、父母について帰化が認められれば、その子は日本国民の子となるため、本号により住所条件、能力条件及び生計条件を備えていなくてもよいことなります。

cf. 国籍法5条1項2号 帰化の条件
もう一歩先へ 2号:
養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も含まれます。
もう一歩先へ 3号:
cf. 国籍法11条 国籍の喪失

「日本の国籍を失つた者」には、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は含まれません。
婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 4号:
日本で出生した無国籍者についての簡易帰化の規定です。

国籍法7条 帰化の条件(日本国民の配偶者)

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。


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もう一歩先へ
住所条件及び能力条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1項1号・2号 帰化の条件
もう一歩先へ 前段:
婚姻期間の長短を問いません。
もう一歩先へ 後段:
婚姻期間が3年を経過していれば、居住期間が3年を経過していなくても、引き続き一年以上住所があれば、帰化を許可することができます。

国籍法6条 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
 
 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
 
 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者


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もう一歩先へ
住所条件が緩和されます。

引き続き5年以上日本に住所を有しなくても、法務大臣は帰化を許可することができます。

cf. 国籍法5条1項1号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民であった者」とは、過去に日本国籍をもっていた者で、現在は日本国籍を喪失している者です。

次の国籍の喪失原因によって日本国籍を喪失した者が「日本国民であった者」です。

国籍の喪失原因

意思表示よるもの

 
意思表示によらないもの

また、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は「日本国民であった者」に含まれませんが、婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 3号:
日本に住所がなかった場合に適用されますが、帰化申請時には住所を有していなければなりません。

国籍法5条 帰化の条件

第5条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
 二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
 三 素行が善良であること。
 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
 五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
 六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
 
2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。


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もう一歩先へ 1項:

6つの条件を規定しています。

  1. 住所条件
  2. 能力条件
  3. 素行条件
  4. 生計条件
  5. 重国籍防止条件
  6. 不法団体条件
もう一歩先へ 1項1号:
住所とは民法22条の住所です。居所は含まれません。

cf. 民法22条 住所

住所は適法なものでなければならないので、不法残留者等の生活の本拠は住所条件を満たしません。

もう一歩先へ 1項2号:
「20歳以上」となっているため、20歳未満の者で婚姻により成年擬制をされている国の者でも、能力条件を満たしません。

(注)令和4年(2022年)4月1日から,「20歳以上」が「18歳以上」に変更されます。

cf. 大韓民国民法826条の2 成年擬制

本国法では妻が制限行為能力者として扱われている場合でも、憲法24条、民法2条、通則法42条の趣旨から能力者として扱われます。

cf. 憲法24条 家庭における個人の尊厳と両性の本質的平等
cf. 民法2条 解釈の基準
cf. 通則法42条 公序

共に外国籍の父母の20歳未満の子が帰化申請をする場合は、能力条件を満たしませんが、父母について帰化が認められれば、その子は日本国民の子となるため、国籍法8条1号により能力条件を備えなくてもよくなります。

cf. 国籍法8条1号 帰化の条件(日本国民の子等)
もう一歩先へ 1項4号:
現在及び将来にわたって公共の負担となるような者の帰化を防止するための条件です。

生計を一にする親族には同居していない者も含まれます。

もう一歩先へ 5号:
日本に帰化したときに、もとの国籍と重国籍にならないようにする規定です。
もう一歩先へ 2項:
日本の法律だけでは重国籍を防止できない場合の、1項5号の救済規定です。
もう一歩先へ

帰化の種類

  • 国籍法5条 ⇒ 普通帰化
  • 国籍法6条7条8条 ⇒ 簡易帰化
  • 国籍法9条 ⇒ 大帰化
cf. Q9: 帰化の条件には,どのようなものがありますか?@法務省

国籍法14条 国籍の選択

第14条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
 
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。


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もう一歩先へ 1項:
本項に定める期限内に国籍の選択をしないでいると,法務大臣から国籍選択の催告を受け,場合によっては日本国籍を失うことがあります。

cf. 国籍法15条 国籍選択の催告による国籍の当然喪失

(注)令和4年(2022年)4月1日から,「重国籍となった時が18歳未満であるときは20歳に達するまでに,重国籍となった時が18歳以上であるときはその時から2年以内」に変更されます。

cf. Q15: 国籍の選択とは,どのような制度ですか?@法務省

国籍の選択をすべき期限(国籍法第14条第1項)に関する経過措置の概要
改正国籍法第14条第1項の規定は,施行日(令和4年4月1日)以後に重国籍となった者又は法律の施行の際に重国籍者であって20歳未満の者について適用することとされ,法律の施行の際に重国籍者であって20歳以上の者の国籍の選択については,なお従前の例により国籍を選択することとされています。
 また,施行の際に重国籍者であって20歳未満の者のうち,18歳以上20歳未満のものは,改正国籍法第14条第1項の規定の適用については,法律の施行の時に重国籍者になったものとみなされることとされています。

cf. Q19:Q18に関係して,経過措置は設けられていますか?@法務省

もう一歩先へ

重国籍となる例

  • 日本国民である母と父系血統主義(注1)を採る国の国籍を有する父との間に生まれた子(例:生まれたときに,母が日本国籍,父がクウェート国籍の子
  • 日本国民である父または母と父母両系血統主義(注2)を採る国の国籍を有する母または父との間に生まれた子(例:生まれたときに,父(又は母)が日本国籍,母(又は父)が韓国国籍の子)
  • 日本国民である父または母(あるいは父母)の子として,生地主義(注3)を採る国で生まれた子(例:生まれたときに,父母が日本国籍であり,かつ,アメリカ,カナダ,ブラジル,ペルーの領土内で生まれた子)
  • 外国人父からの認知,外国人との養子縁組,外国人との婚姻などによって外国の国籍を取得した日本国民(例:生まれたときに母が日本国籍で,カナダ国籍の父から認知された子)
  • 国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人

(注1)父系血統主義とは,その国の国籍を有する父の子として生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。

(注2)父母両系血統主義とは,その国の国籍を有する父又は母の子として生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。

(注3)生地主義とは,その国で生まれた子に,その国の国籍を与える主義です。

cf. Q16: 重国籍になるのは,どのような場合ですか?@法務省

国籍法12条 国籍不留保による国籍の当然喪失

第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。


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cf. 戸籍法104条 国籍留保の届出

もう一歩先へ
日本人夫婦の子が外国で生まれた場合であっても、出生によって日本国籍を取得します。

cf. 国籍法2条1号 出生による国籍の取得

しかし、外国で生まれた子が、出生によって日本国籍と同時に外国の国籍も取得したときは、出生の日から3か月以内に、出生の届出とともに日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ、その子は、出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条、戸籍法第104条)。

cf. Q5: 外国で生まれた日本人夫婦間の子の国籍は、どうなりますか?@法務省

国籍法3条 認知された子の国籍の取得

第3条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
 
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。


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もう一歩先へ 1項:

要件

  1. 届出の時に子が20歳未満であること。
    (日本国民であった者でないこと。)
  2. 認知をした父が子の出生の時に日本国民であること。
  3. 認知をした父が届出の時に日本国民であること。
    (認知をした父が死亡しているときは、その死亡の時に日本国民であったこと。)

※国籍法第3条の改正(平成21年1月1日施行)により,出生後に日本人に認知されていれば,父母が結婚していない場合にも届出によって日本の国籍を取得することができるようになりました。

(注)令和4年(2022年)4月1日から,「20歳未満」が「18歳未満」に変更されます。

cf. Q6: 届出によって日本国籍を取得できるのは,どのような場合ですか?@法務省