民法17条 補助人の同意を要する旨の審判等

第17条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
 
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
 
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
 
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。


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民法13条 保佐人の同意を要する行為等

第13条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
 一 元本を領収し、又は利用すること。
 二 借財又は保証をすること。
 三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
 四 訴訟行為をすること。
 五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
 六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
 七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
 八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
 九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
 十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
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民法916条 相続の承認又は放棄をすべき期間(再転相続)

第916条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。


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甲が死亡して相続が開始し、甲の相続人乙が甲の相続について選択(承認・放棄)する前に死亡し、乙の相続人丙がいる場合を、講学上、再転相続といいます。
本条の「相続人」は乙を、「その者の相続人」は丙を指します。甲の相続を第1次相続、乙の相続を第2次相続、甲を第1次被相続人、乙を第2次被相続人という。

相続税法20条は「相次相続」といいます。同条は、課税の特例なので、両相続の承認が前提になります。

cf. 相続税法20条 相次相続控除
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cf. 最決平17・10・11(遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件) 全文

判示事項
 相続が開始して遺産分割未了の間に第2次の相続が開始した場合において第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときの持戻しの要否

裁判要旨
 相続が開始して遺産分割未了の間に相続人が死亡した場合において,第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であって第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となり,第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときは,その持戻しをして具体的相続分を算定しなければならない

e.g. Pが死亡し、妻Q・子R・S・TがPを相続した後、遺産分割手続未了のまま、Qが死亡し、R・S・TがQを相続したという事案であった。Pの相続について、Qが相続したのは法定相続分(2分の1)に基づく財産か、それとも具体的相続分に基づく財産かが争点となった。同決定は具体的相続分の算定を命じた。
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最判平1・8・9(執行文付与に対する異議事件) 全文

判示事項
 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義

裁判要旨
 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいう。

e.g. 「相続の承認又は放棄をしないで死亡した者(乙)の相続人(丙)が,当該死亡した者(乙)からの相続(第2次相続)により,当該死亡した者(乙)が承認又は放棄をしなかった相続(第1次相続)における相続人としての地位を,自己(丙)が承継した事実を知った時」が第1次相続の熟慮期間の起算点になる(第1次相続基準説)。


最判平1・8・9は、丙が第1次相続の発生を認識せず、第2次相続の発生のみを認識していた場合については、第1次相続の発生を認識したときが第1次相続の熟慮期間の起算点になると判示しています(第1次相続基準説)。

再転相続で、丙が第1次相続の発生と第2次相続の発生を順次認識していたような場合には、甲の相続についての熟慮期間を乙の相続についての熟慮期間と同一にまで延長し、甲の相続につき必要な熟慮期間が付与されます(第2次相続基準説)(最判昭63・6・21)。

民法917条 相続の承認又は放棄をすべき期間(相続人が未成年者又は成年被後見人であるとき)

第917条 相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。


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制限行為能力者の場合は、法定代理人の認識を基準としますが、保佐人や補助人は法定代理人ではないので、被保佐人や被補助人には適用されません。

被保佐人が相続の承認や放棄をする場合は保佐人の同意を得なければなりません。

cf. 民法13条1項6号 保佐人の同意を要する行為等
 
被補助人の場合は、相続の承認や放棄が同意の対象に含まれている場合に、補助人の同意が必要になります。

cf. 民法17条 補助人の同意を要する旨の審判等

民法910条 相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権

第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。


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  • 分割後に認知された者については、分割をやり直すのではなく、価額賠償の問題になります。
  • 母子関係については認知をするまでもなく親子関係が認められ、本条も類推適用されないため、嫡出でない子がいる母の死亡による相続について、その子の存在を知らないまま遺産分割協議した場合は、分割当時に存在した共同相続人を除外してされた遺産分割として無効です。
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cf. 最判令1・8・27(遺産分割後の価額支払請求事件) 全文

相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額である。

民法906条 遺産の分割の基準

第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


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遺産分割の方法について、優先順位に従って並べると次のようになります。

  1. 遺言による指定分割(相続分の指定、遺産分割の方法の指定)
  2. 協議分割
  3. 調停分割
  4. 審判分割

民法905条 相続分の取戻権

第905条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
 
2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。


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相続分を丸ごと譲渡した場合の規定です。特定の財産の持分を譲渡した場合は適用されません。
 
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相続分譲渡について

相続分の譲渡は、第三者へだけでなく相続人への譲渡もできます。
 
相続分譲渡とは、相続開始後、遺産分割前に行われる、「積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する」「割合的な持分」の譲渡をいい、これに伴って「個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずる」(最判平13.7.10)ものです。

譲渡人は、相続人の身分を失うわけではありません。
 
譲渡されるのは、一般に、具体的相続分と解されており、したがって、譲受人は、譲渡人が有していた特別受益や寄与分を主張しうる地位、さらに遺留分を主張しうる地位も承継します。遺留分を主張して侵害分を請求できるようにまることも同様に捉えられます。
 
当事者の合意のみで成立する法律行為であり、合意があるとその時点で相続分が移転します。有償・無償を問わない。熟慮期間が過ぎてもかまいません。

cf. 民法915条 相続の承認又は放棄をすべき期間