第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
民法242条 不動産の付合
第242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
土地を借りて育てた野菜が全て土地所有者に持っていかれたり、土地の所有者と共有となったのでは意味がありません。
畑を借りて家庭菜園をしていた場合、野菜を寄付するつもりで家庭菜園をしてるわけではないので、育った野菜は借主のものと考えるのが当然です。
ただし、ただし書は一物一権主義に反しない範囲で認められるので、強い符合の場合には適用されません。
民法196条 占有者による費用の償還請求
第196条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
占有者が費用を自ら支出した場合に、回復者である所有者に対して所有権があるんだから、あなたが費用を負担するのが当然だろうと請求するもの。
他人のために費用を払ったという場合、占有者が本来の権利者(本者)である回復を請求する者に対して、費用償還請求をするものです。
善意者・悪意者を問わず、費用の償還を請求できます。
他人の物の占有ということで、使用貸借、賃貸借、留置権、質権、買戻し等で費用償還請求の話がでてきます。
民法533条 同時履行の抗弁
第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
判示事項
履行の提供と同時履行の抗弁権の消滅。
裁判要旨
双務契約の当事者の一方は、相手方の履行の提供があつても、その提供が継続されないかぎり、同時履行の抗弁権を失うものではない。
判示事項
造作買取請求権行使の場合における造作代金支払義務と家屋明渡義務との関係――留置権または同時履行抗弁権の成否
裁判要旨
借家法第五条により造作の買収を請求した家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として右家屋を留置し、または右代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により右家屋の明渡を拒むことはできない。
民法192条 即時取得
第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。cf. 民法188条 占有物について行使する権利の適法の推定
- 相手が制限行為能力者や無権代理人であるときは、本条は適用されません。
即時取得は、無権利者との取引を有効にするもので、無権代理の場合は表見代理の制度、制限行為能力者は催告等の制度があり、場面を異にします。
民法193条 盗品又は遺失物の回復
民法194条 代価弁償
第194条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
cf. 質屋営業法22条 盗品及び遺失物の回復
民法179条 混同
第179条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、占有権については、適用しない。
cf.
民法520条 混同
意味のないものは混同により消滅しますが、残しておく意味のあるものは消滅しません。
判示事項
一、競売期日の公告に記載されなかつた賃借権とその対抗力
二、執行裁判所の取調に対して申出のなかつた賃借権とその効力
三、土地の所有権と賃借権とが混同しても賃借権が消滅しない場合
裁判要旨
一、建物保護に関する法律一条による対抗要件を具備した土地の賃借権は、競売期日の公告に記載されなかつたとしても、その対抗力が消滅するものではない。
二、執行裁判所の取調に対して土地の賃借権者が賃借権の申出をしなかつたとしても、その賃借権の効力に影響を及ぼすものではない。
三、特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに右土地に抵当権が設定されていたときは、民法一七九条一項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきであり、このことは、賃借権の対抗要件が建物保護に関する法律一条によるものであるときでも同様である。
民法403条 金銭債権(外国の通貨で債権額を指定したとき)
第403条 外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。
日本の通貨を選択したときは、現実に履行するときの為替相場によると解されています(外国の通貨で支払ったその場で日本円に替えるのと実質上同じ)。