民法897条の2 相続財産の保存

第897条の2 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。
 
2 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。


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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日
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令和3年改正の施行日(令和5年4月1日)前に改正前民法918条2項(承認又は放棄するまでの相続財産管理人)等の廃止された規定により選任された相続財産管理人は、施行日以降は、本条1項本文によって選任された相続財産の保存のための相続財産管理人とみなされます。

cf. 令和3年改正民法附則2条1項 相続財産の保存に必要な処分に関する経過措置

cf. 改正前民法918条2項 相続財産の管理

民法898条 共同相続の効力

第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
 
2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。


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改正前民法898条 共同相続の効力(共有)

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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日

民法904条の3 期間経過後の遺産の分割における相続分

第904条の3 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
 一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
 二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。


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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日

民法907条 遺産の分割の協議又は審判

第907条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
 
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。


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改正前民法907条 遺産の分割の協議又は審判等

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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日
 
cf. 民法258条 裁判による共有物の分割
 
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最判平25.11.29は、遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消について本条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当であるとしています。
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cf. 最判平1・2・9(更正登記手続等請求事件) 全文

判示事項
 遺産分割協議と民法五四一条による解除の可否

裁判要旨
 共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が右協議において負担した債務を履行しないときであつても、その債権を有する相続人は、民法五四一条によつて右協議を解除することができない。

cf. 民法541条 催告による解除
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cf. 最判平2・9・27(昭和63(オ)115 土地所有権移転登記抹消登記手続) 全文

判示事項
 遺産分割協議と合意解除及び再分割協議の可否

裁判要旨
 共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。

民法908条 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止

第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
 
2 共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
 
3 前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
 
 前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
 
5 家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。


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改正前民法908条 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止

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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日
cf. 民法256条 共有物の分割請求

民法918条 相続人による管理

第918条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。


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改正前民法918条 相続財産の管理

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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日
 
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「固有財産におけるのと同一の注意」は、無償受寄者による「自己の財産に対するのと同一の注意」、親権者による「自己のためにするのと同一の注意」等と同義です。

cf. 民法659条 無報酬の受寄者の注意義務

cf. 民法827条 財産の管理における注意義務

cf. 民法926条 限定承認者による管理

cf. 民法940条 相続の放棄をした者による管理

cf. 民法944条 財産分離の請求後の相続人による管理

民法926条 限定承認者による管理

第926条 限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。
 
2 第六百四十五条第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。


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改正前民法926条 限定承認者による管理

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民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日
cf. 民法918条 相続人による管理

民法936条 相続人が数人ある場合の相続財産の清算人

第936条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の清算人を選任しなければならない。
 
2 前項の相続財産の清算人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
 
3 第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の清算人について準用する。この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の清算人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする。


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改正前民法936条 相続人が数人ある場合の相続財産の管理人

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成立 2021(令和3)年4月21日
公布 2021(令和3)年4月28日
施行日 2023(令和5)年4月1日

改正前民法936条 相続人が数人ある場合の相続財産の管理人

第936条  相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。
 
2  前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
 
3  第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする


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cf. 民法936条 相続人が数人ある場合の相続財産の清算人

民法940条 相続の放棄をした者による管理

第940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
 
2 第六百四十五条第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。


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改正前民法940条 相続の放棄をした者による管理

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