改正債権法附則10条 時効に関する経過措置

第10条 施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の援用については、新法第百四十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 
2 施行日前に旧法第百四十七条に規定する時効の中断の事由又は旧法第百五十八条から第百六十一条までに規定する時効の停止の事由が生じた場合におけるこれらの事由の効力については、なお従前の例による。
 
3 新法第百五十一条の規定は、施行日前に権利についての協議を行う旨の合意が書面でされた場合(その合意の内容を記録した電磁的記録(新法第百五十一条第四項に規定する電磁的記録をいう。附則第三十三条第二項において同じ。)によってされた場合を含む。)におけるその合意については、適用しない。
 
4 施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。


改正債権法@法務省

 

もう一歩先へ
もう一歩先へ 1項:
契約等の法律行為によって債権が生じた場合については、「その原因である法律行為」がされた時点が改正後民法の適用の基準時となります。

よって、契約に基づいて停止条件付債権が発生した場合には、停止条件成就時ではなく、契約の締結時が基準となります。

また、例えば、賃貸借契約の賃借人が必要費を支出した場合における賃借人の賃貸人に対する必要費償還請求権などは、契約が「原因である法律行為」に当たり、契約の締結時が基準になります。

cf. 改正債権法附則35条 不法行為等に関する経過措置

民法412条 履行期と履行遅滞

第412条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
 
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
 
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。


e-Gov 民法

 
改正前民法412条 履行期と履行遅滞

もう一歩先へ 2項:
債務者は、不確定期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います。

改正前民法412条2項 履行期と履行遅滞

Un pas de plus ! もう一歩先へ 3項:
cf. 最判昭55・12・18(損害賠償) 全文
 
判示事項
 一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務の履行遅滞となる時期
 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族と固有の慰藉料請求権の有無

裁判要旨
 一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞となる。
 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 3項:
期限の定めのない貸金債権を共同相続した場合、共同相続人は、相続分の限度で可分債権たる貸金債権を分割承継します。

不法行為に基づく損害賠償請求権につき
cf. 最判昭29・4・8(損害賠償請求) 全文
判示事項
 相続財産たる金銭その他の可分債権と共同相続人の分割承継

裁判要旨
 相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭の他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解すべきである。

民法1016条 遺言執行者の復任権

第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
 
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。


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民法1016条 遺言執行者の復任権

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復任権を制限している改正前民法1016条のルールを改めて、他の法定代理と同様のルールとしています。

cf. 民法105条 法定代理人による復代理人の選任
もう一歩先へ 1項:
遺言執行者は、遺言者が遺言で反対の意思表示をしない限り、特にやむを得ない事由がなくても、遺言執行者の全部、すなわち、遺言執行者の権利・義務の全てを第三者に行わせることができるようになりました。

民法1015条 遺言執行者の行為の効果

第1015条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。


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改正前民法1015条 遺言執行者の地位

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施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法の施行期日

2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

cf. 改正相続法附則2条 民法の一部改正に伴う経過措置の原則

民法1007条 遺言執行者の任務の開始

第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
 
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法附則8条1項 遺言執行者の権利義務等に関する経過措置
 
参考 改正相続法の施行期日
 
改正前民法1007条 遺言執行者の任務の開始