民法412条 履行期と履行遅滞

第412条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
 
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
 
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。


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改正前民法412条 履行期と履行遅滞

もう一歩先へ 2項:
債務者は、不確定期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います。

改正前民法412条2項 履行期と履行遅滞

Un pas de plus ! もう一歩先へ 3項:
cf. 最判昭55・12・18(損害賠償) 全文
 
判示事項
 一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務の履行遅滞となる時期
 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族と固有の慰藉料請求権の有無

裁判要旨
 一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞となる。
 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 3項:
期限の定めのない貸金債権を共同相続した場合、共同相続人は、相続分の限度で可分債権たる貸金債権を分割承継します。

不法行為に基づく損害賠償請求権につき
cf. 最判昭29・4・8(損害賠償請求) 全文
判示事項
 相続財産たる金銭その他の可分債権と共同相続人の分割承継

裁判要旨
 相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭の他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解すべきである。

民法1016条 遺言執行者の復任権

第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
 
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。


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民法1016条 遺言執行者の復任権

もう一歩先へ
復任権を制限している改正前民法1016条のルールを改めて、他の法定代理と同様のルールとしています。

cf. 民法105条 法定代理人による復代理人の選任
もう一歩先へ 1項:
遺言執行者は、遺言者が遺言で反対の意思表示をしない限り、特にやむを得ない事由がなくても、遺言執行者の全部、すなわち、遺言執行者の権利・義務の全てを第三者に行わせることができるようになりました。

民法1015条 遺言執行者の行為の効果

第1015条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。


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改正前民法1015条 遺言執行者の地位

もう一歩先へ
施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法の施行期日

2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

cf. 改正相続法附則2条 民法の一部改正に伴う経過措置の原則

民法1007条 遺言執行者の任務の開始

第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
 
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
cf. 改正相続法附則8条1項 遺言執行者の権利義務等に関する経過措置
 
参考 改正相続法の施行期日
 
改正前民法1007条 遺言執行者の任務の開始

民法650条 受任者による費用等の償還請求等

第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
 
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
 
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。


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もう一歩先へ 1項:
受任者が費用を立て替えた場合には、受任者はその費用を請求することができます。
もう一歩先へ 1項:必要と認められる費用
必要と認められる費用とは、負担の当時、客観的にみて委任事務処理に必要であればよく、結果的には不必要なものであってもかまいません。
 
Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭47・12・22(昭和44(オ)135  債務金請求) 全文

判示事項
 民法六五〇条二項前段の代弁済請求権と相殺

裁判要旨
 受任者が民法六五〇条二項前段に基づいて有する代弁済請求権に対しては、委任者は、受任者に対する債権をもつて相殺することはできない。

cf. 民法505条1項 相殺の要件等
もう一歩先へ 3項:

民法1012条 遺言執行者の権利義務

第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
 
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
 
3 第六百四十四条第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。


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改正前民法1012条 遺言執行者の権利義務

もう一歩先へ 2項:
特定遺贈と包括遺贈をを区別することなく、遺言執行者のみが遺贈義務者となります。

民法551条 贈与者の引渡義務等

第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
 
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。


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改正前民法551条 贈与者の担保責任

もう一歩先へ
cf. 民法998条 遺贈義務者の引渡義務