第1005条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
民法1004条 遺言書の検認
第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
cf. 家事事件手続法211条 遺言書の検認についての調書の作成
cf. 家事事件手続法209条 管轄(遺言に関する審判事件)
cf. 民法883条 相続開始の場所
cf. 遺言書の検認@裁判所 cf. 遺言書の検認の申立書
改正前民法940条 相続の放棄をした者による管理
民法413条 受領遅滞
第413条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
改正前民法918条 相続財産の管理
第918条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
2 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
3 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。
cf.
民法918条 相続人による管理
cf. 民法413条 受領遅滞
cf. 民法659条 無報酬の受寄者の注意義務
cf. 民法940条 相続の放棄をした者による管理
民法17条 補助人の同意を要する旨の審判等
第17条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
民法13条 保佐人の同意を要する行為等
第13条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
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民法916条 相続の承認又は放棄をすべき期間(再転相続)
第916条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
本条の「相続人」は乙を、「その者の相続人」は丙を指します。甲の相続を第1次相続、乙の相続を第2次相続、甲を第1次被相続人、乙を第2次被相続人という。
相続税法20条は「相次相続」といいます。同条は、課税の特例なので、両相続の承認が前提になります。
cf. 相続税法20条 相次相続控除判示事項
相続が開始して遺産分割未了の間に第2次の相続が開始した場合において第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときの持戻しの要否
裁判要旨
相続が開始して遺産分割未了の間に相続人が死亡した場合において,第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であって第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となり,第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときは,その持戻しをして具体的相続分を算定しなければならない
判示事項
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義
裁判要旨
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいう。
最判平1・8・9は、丙が第1次相続の発生を認識せず、第2次相続の発生のみを認識していた場合については、第1次相続の発生を認識したときが第1次相続の熟慮期間の起算点になると判示しています(第1次相続基準説)。
再転相続で、丙が第1次相続の発生と第2次相続の発生を順次認識していたような場合には、甲の相続についての熟慮期間を乙の相続についての熟慮期間と同一にまで延長し、甲の相続につき必要な熟慮期間が付与されます(第2次相続基準説)(最判昭63・6・21)。
民法917条 相続の承認又は放棄をすべき期間(相続人が未成年者又は成年被後見人であるとき)
第917条 相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
被保佐人が相続の承認や放棄をする場合は保佐人の同意を得なければなりません。
cf. 民法13条1項6号 保佐人の同意を要する行為等被補助人の場合は、相続の承認や放棄が同意の対象に含まれている場合に、補助人の同意が必要になります。 cf. 民法17条 補助人の同意を要する旨の審判等
改正前民法908条 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止
第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。