会社法176条 売渡しの請求

第176条 株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
 
2 前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
 
3 株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。


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もう一歩先へ 1項:
定款で会社が売渡請求をできることを定め(会社法174条)、株主総会で請求株式数や相手など必要事項を決めたときに(会社法175条)、初めて売渡請求ができます。

cf. 会社法174条 相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め

cf. 会社法175条 売渡しの請求の決定

ただし、会社が相続などの一般承継があったことを知った時から1年以内に請求する必要があります。

会社法164条 特定の株主からの取得に関する定款の定め

第164条 株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。
 
2 株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。


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もう一歩先へ 2項:
これは通常の定款変更が特別決議であることの特則です。

cf. 会社法466条 定款の変更

会社法159条 譲渡しの申込み

第159条 前条第一項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)を明らかにしなければならない。
 
2 株式会社は、第百五十七条第一項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下この項において「申込総数」という。)が同条第一項第一号の数(以下この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。


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もう一歩先へ 2項ただし書き:
申込み総数が取得総数を上回る場合には、按分比例によります。

会社法459条 剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め

第459条 会計監査人設置会社(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役以外の取締役)の任期の末日が選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの及び監査役設置会社であって監査役会設置会社でないものを除く。)は、次に掲げる事項を取締役会(第二号に掲げる事項については第四百三十六条第三項の取締役会に限る。)が定めることができる旨を定款で定めることができる。
 一 第百六十条第一項の規定による決定をする場合以外の場合における第百五十六条第一項各号に掲げる事項
 二 第四百四十九条第一項第二号に該当する場合における第四百四十八条第一項第一号及び第三号に掲げる事項
 三 第四百五十二条後段の事項
 四 第四百五十四条第一項各号及び同条第四項各号に掲げる事項。ただし、配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合を除く。
 
2 前項の規定による定款の定めは、最終事業年度に係る計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り、その効力を有する。
 
3 第一項の規定による定款の定めがある場合における第四百四十九条第一項第一号の規定の適用については、同号中「定時株主総会」とあるのは、「定時株主総会又は第四百三十六条第三項の取締役会」とする。


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もう一歩先へ 1項:

会社法460条 株主の権利の制限

第460条 前条第一項の規定による定款の定めがある場合には、株式会社は、同項各号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができる。
 
2 前項の規定による定款の定めは、最終事業年度に係る計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合に限り、その効力を有する。


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もう一歩先へ 1項:

会社法157条 取得価格等の決定

第157条 株式会社は、前条第一項の規定による決定に従い株式を取得しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)
 二 株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
 三 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
 四 株式の譲渡しの申込みの期日
 
2 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
 
3 第一項の株式の取得の条件は、同項の規定による決定ごとに、均等に定めなければならない。


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もう一歩先へ 1項:
財源規制があります。

cf. 会社法461条1項3号 配当等の制限
もう一歩先へ 1項、2項:
株主総会の決議に従って、株式を取得しようとするときは、毎回の具体的な取得数・価格等は、取締役会設置会社では取締役会決議で定めますが、それ以外の会社では(代表)取締役が決めてよいことになります。

会社法158条 株主に対する通知等

第158条 株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
 
2 公開会社においては、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。


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もう一歩先 2項:
非公開会社では、株主一人ひとりに通知する必要があります。

会社法156条 株式の取得に関する事項の決定

第156条 株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、一年を超えることができない。
 一 取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
 二 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下この款において同じ。)の内容及びその総額
 三 株式を取得することができる期間
 
2 前項の規定は、前条第一号及び第二号並びに第四号から第十三号までに掲げる場合には、適用しない。


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もう一歩先へ
株主全員に譲渡申込みの機会を与える、いわゆるミニ公開買付けに関する規定です。機動的な自己株式を実現する趣旨です。

ただし、上場会社は市場取引か公開買付けの方法によらなければなりません。

cf. 金融商品取引法27条の22の2第1項1号 発行者による上場株券等の公開買付け
 
もう一歩先へ 1項:
株主総会の決議は普通決議。

cf. 会社法309条2項2号 株主総会の決議

特定株主から取得する場合は特別決議。

cf. 会社法309条2項2号かっこ書 株主総会の決議

財源規制があります。

cf. 会社法461条1項2号、3号 配当等の制限

会計監査人設置会社には、株主総会から取締役会に権限移譲できる特則があります。

cf. 会社法459条1項1号 剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め

cf. 会社法460条 株主の権利の制限

会社法106条 共有者による権利の行使

第106条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。


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もう一歩先へ
相続が発生し、遺言がない場合は、遺産分割が確定するまでの間、株式は準共有状態となるため、この間の議決権の行使については、原則として、各共同相続人が株式の権利を行使する者1人を定め、会社に通知しなければ、その議決権を行使することができません。

株式について相続が開始すると、共同相続人の準共有になります。共同相続人の協議により議決権を行使する者を決める場合、判例は、準共有者による権利行使者の指定は、持分の価格に従いその過半数で決することになります。
cf. 最判平9.1.2(社員総会決議不存在確認) 全文

また、権利行使者は自己の判断で議決権を行使できるとしています(最判昭53.4.14)。

cf. 民法264条ただし書き 準共有

会社法160条 特定の株主からの取得

第160条 株式会社は、第百五十六条第一項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第百五十八条第一項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。
 
2 株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。
 
3 前項の株主は、第一項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。
 
4 第一項の特定の株主は、第百五十六条第一項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、第一項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
 
5 第一項の特定の株主を定めた場合における第百五十八条第一項の規定の適用については、同項中「株主(種類株式発行会社にあっては、取得する株式の種類の種類株主)」とあるのは、「第百六十条第一項の特定の株主」とする。


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もう一歩先へ 1項:
この方法は、特定の株主のみから自己株式を買い取るもので、株主平等の原則に反することから、株主総会の特別決議が必要です。

cf. 会社法309条2項2号かっこ書き 株主総会の決議