会社法238条 募集事項の決定

第238条 株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。
 一 募集新株予約権の内容及び数
 二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
 三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権一個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)又はその算定方法
 四 募集新株予約権を割り当てる日(以下この節において「割当日」という。)
 五 募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めるときは、その期日
 六 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、第六百七十六条各号に掲げる事項
 七 前号に規定する場合において、同号の新株予約権付社債に付された募集新株予約権についての第百十八条第一項、第百七十九条第二項、第七百七十七条第一項、第七百八十七条第一項又は第八百八条第一項の規定による請求の方法につき別段の定めをするときは、その定め
 
2 募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
 
3 次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
 一 第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
 二 第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。
 
4 種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を目的とする募集新株予約権を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
 
5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。


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もう一歩先へ
新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいいます。

cf. 会社法2条21号 定義
もう一歩先へ 2項:
株主総会の決議は特別決議です。これは原則として、非公開会社の規定です。

cf. 会社法309条2項6号 株主総会の決議
もう一歩先へ 3項:
公開会社では、原則として、取締役会の決議のみとなります。

cf. 会社法240条1項 公開会社における募集事項の決定の特則

公開会社の定義 -> cf. 会社法2条5号 定義

ただし、本項に該当する場合には、株主総会の特別決議が必要になります。

登記官には、有利発行かどうかを申請書から判断することは困難であるため、公開会社が第三者に対して有利発行をする場合の登記の申請書には、取締役会議事録を添付すればよく、株主総会議事録の添付は必要ありません。

会社法118条 新株予約権買取請求

第118条 次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
 一 その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更 全部の新株予約権
 二 ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 当該種類の株式を目的とする新株予約権
 
2 新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下この節において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。
 
3 第一項各号に掲げる定款の変更をしようとする株式会社は、当該定款の変更が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「定款変更日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、当該定款の変更を行う旨を通知しなければならない。
 
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
 
5 新株予約権買取請求は、定款変更日の二十日前の日から定款変更日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容及び数を明らかにしてしなければならない。
 
6 新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権証券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券について非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百十四条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。
 
7 新株予約権付社債券(第二百四十九条第二号に規定する新株予約権付社債券をいう。以下この項及び次条第八項において同じ。)が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権付社債券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債券について非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。
 
8 新株予約権買取請求をした新株予約権者は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その新株予約権買取請求を撤回することができる。
 
9 株式会社が第一項各号に掲げる定款の変更を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失う。
 
10 第二百六十条の規定は、新株予約権買取請求に係る新株予約権については、適用しない。


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もう一歩先へ 1項:
新株予約権者に買取請求権が与えられ、未行使の新株予約権があっても、新株予約権者の保護が図られています。

新株予約権付社債を発行している会社は、新株予約権の行使期間の経過前でも、株式譲渡制限の設定の登記の申請をすることができます。

もう一歩先へ 2項:
新株予約権と社債の一体化を示す定めです。

会社法466条 定款の変更

第466条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。


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もう一歩先へ
株主総会の決議は特別決議です。

cf. 会社法309条2項11号 株主総会の決議
もう一歩先へ 通常の定款変更が特別決議であることの例外:

株主全員の同意が必要とされるもの

種類株式発行会社を除きます。

株主総会の特別決議と種類株主全員の同意が必要とされるもの

種類株式発行会社に限ります。

株主総会の特別決議と種類株主総会決議が必要とされるもの

株主総会の特殊決議が必要とされる場合

株主総会の決議が不要である場合

  • 株式分割に際して一定割合内で発行可能株式総数を増加させる定款の変更(会社法184条2項 効力の発生等
  • 株式分割に際して単元株式数を増加させ又は単元株式数について定款の定めを新設(会社法191条各号の要件を満たすものに限る。)する定款の変更(会社法191条
  • 単元株式数を減少させ、又は廃止する定款の変更(会社法195条

会社法107条 株式の内容についての特別の定め

第107条 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
 
2 株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項
  イ 当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
  ロ 一定の場合においては株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合
 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
  イ 株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨
  ロ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類(第六百八十一条第一号に規定する種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ハ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
  ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
  ヘ 株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間
 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
  イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由
  ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
  ハ イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定の方法
  ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ヘ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
  ト イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法


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もう一歩先へ 1項:
株式会社は、「全部の株式」の内容として、以下の3つのどれかをを発行することができることを定めています。

  • 1号 -> 譲渡制限株式
  • 2号 -> 取得請求権付株式
  • 3号 -> 取得条項付株式

全部の株式が内容が全て同じになる点で、種類株式と区別されます。

それぞれの株式の定義については、2条17号、18号、19号に定められています。

cf. 会社法2条 定義

譲渡制限株式

株式の全部の種類に譲渡制限規定を定款に設けるときは、株主総会の特殊決議を得る必要があります。

cf. 会社法309条3項1号 株主総会の決議

株式の譲渡制限を定める場合、株式会社の承認の他に更に他の要件を加重することは認められません。従って、

当会社の株式は、当会社に関係がある者であって、取締役会の承認を得た者以外の者が譲渡により取得することはできない。

等の定めの設定の登記の申請はできません。

ただし、一定の題号を用い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社にあつては、定款をもって、株式の譲受人を、その株式会社の事業に関係のある者に限ることができます

cf. 日刊新聞法1条 株式の譲渡制限等
もう一歩先へ 2項:

会社法219条 株券の提出に関する公告等

第219条 株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(第四号の二に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下この条において「株券提出日」という。)までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
 一 第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)
 二 株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)
 三 第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式
 四 取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式
四の二 第百七十九条の三第一項の承認 売渡株式
 五 組織変更 全部の株式
 六 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式
 七 株式交換 全部の株式
 八 株式移転 全部の株式
 
2 株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、株券提出日までに当該株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該株券の提出があるまでの間、当該行為(第二号に掲げる行為をする場合にあっては、株式売渡請求に係る売渡株式の取得)によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
 一 前項第一号から第四号までに掲げる行為 当該株券発行会社
 二 第百七十九条の三第一項の承認 特別支配株主
 三 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
 四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
 五 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
 六 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
 
3 第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。
 
4 第一項第四号の二の規定による公告及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。


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会社計算規則14条 募集株式を引き受ける者の募集を行う場合

第14条 法第二編第二章第八節の定めるところにより募集株式を引き受ける者の募集を行う場合には、資本金等増加限度額は、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合(当該募集に際して発行する株式の数を当該募集に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数の合計数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額から第四号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。
 一 法第二百八条第一項の規定により払込みを受けた金銭の額(次のイ又はロに掲げる場合における金銭にあっては、当該イ又はロに定める額)
  イ 外国の通貨をもって金銭の払込みを受けた場合(ロに掲げる場合を除く。) 当該外国の通貨につき法第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、法第二百八条第一項の規定により払込みを受けた日)の為替相場に基づき算出された額
  ロ 当該払込みを受けた金銭の額(イに定める額を含む。)により資本金等増加限度額を計算することが適切でない場合 当該金銭の当該払込みをした者における当該払込みの直前の帳簿価額
 二 法第二百八条第二項の規定により現物出資財産(法第二百七条第一項に規定する現物出資財産をいう。以下この条において同じ。)の給付を受けた場合にあっては、当該現物出資財産の法第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、法第二百八条第二項の規定により給付を受けた日)における価額(次のイ又はロに掲げる場合における現物出資財産にあっては、当該イ又はロに定める額)
  イ 当該株式会社と当該現物出資財産の給付をした者が共通支配下関係にある場合(当該現物出資財産に時価を付すべき場合を除く。) 当該現物出資財産の当該給付をした者における当該給付の直前の帳簿価額
  ロ イに掲げる場合以外の場合であって、当該給付を受けた現物出資財産の価額により資本金等増加限度額を計算することが適切でないとき イに定める帳簿価額
 三 法第百九十九条第一項第五号に掲げる事項として募集株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額と定めた額
 四 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額が零以上であるときは、当該額
  イ 当該募集に際して処分する自己株式の帳簿価額
  ロ 第一号及び第二号に掲げる額の合計額から前号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)に自己株式処分割合(一から株式発行割合を減じて得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額
 
2 前項に規定する場合には、同項の行為後の次の各号に掲げる額は、同項の行為の直前の当該額に、当該各号に定める額を加えて得た額とする。
 一 その他資本剰余金の額 イ及びロに掲げる額の合計額からハに掲げる額を減じて得た額
  イ 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額
  ロ 次に掲げる額のうちいずれか少ない額
   (1) 前項第四号に掲げる額
   (2) 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合を乗じて得た額(零未満である場合にあっては、零)
  ハ 当該募集に際して処分する自己株式の帳簿価額
 二 その他利益剰余金の額 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額が零未満である場合における当該額に株式発行割合を乗じて得た額
 
3 第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、第一項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額とする。
 
4 第二項第一号ロに掲げる額は、第百五十条第二項第八号及び第百五十八条第八号ロ並びに法第四百四十六条第二号並びに第四百六十一条第二項第二号ロ及び第四号の規定の適用については、当該額も、自己株式対価額に含まれるものとみなす。
 
5 第一項第二号の規定の適用については、現物出資財産について法第百九十九条第一項第二号に掲げる額及び同項第三号に掲げる価額と、当該現物出資財産の帳簿価額(当該出資に係る資本金及び資本準備金の額を含む。)とが同一の額でなければならないと解してはならない。


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会社法206条の2 公開会社における募集株式の割当て等の特則

第206条の2 公開会社は、募集株式の引受人について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下この項及び第四項において「特定引受人」という。)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合又は第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
 一 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
 二 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
 
2 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
 
3 第一項の規定にかかわらず、株式会社が同項の事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、第一項の規定による通知は、することを要しない。
 
4 総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知又は第二項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下この項において同じ。)による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、第一項に規定する期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の第二百五条第一項の契約の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。
 
5 第三百九条第一項の規定にかかわらず、前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。


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もう一歩先へ
公開会社で新たな支配株主が誕生するような第三者割当てを規制。

募集新株予約権の発行についても同様の規制があります。
 
cf. 会社法244条の2 公開会社における募集新株予約権の割当て等の特則

会社法203条 募集株式の申込み

第203条 株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
 一 株式会社の商号
 二 募集事項
 三 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
 
2 第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
 一 申込みをする者の氏名又は名称及び住所
 二 引き受けようとする募集株式の数
 
3 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
 
4 第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
 
5 株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
 
6 株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
 
7 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。


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もう一歩先へ 2項:
株主割当の場合も、本項により、株主は引受けの申込みをします。

cf. 会社法202条1項1号 株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合

会社法322条 ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会

第322条 種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
 一 次に掲げる事項についての定款の変更(第百十一条第一項又は第二項に規定するものを除く。)
  イ 株式の種類の追加
  ロ 株式の内容の変更
  ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加
 一の二 第百七十九条の三第一項の承認
 二 株式の併合又は株式の分割
 三 第百八十五条に規定する株式無償割当て
 四 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
 五 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
 六 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
 七 合併
 八 吸収分割
 九 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
 十 新設分割
 十一 株式交換
 十二 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
 十三 株式移転
 
2 種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
 
3 第一項の規定は、前項の規定による定款の定めがある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会については、適用しない。ただし、第一項第一号に規定する定款の変更(単元株式数についてのものを除く。)を行う場合は、この限りでない。
 
4 ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について第二項の規定による定款の定めを設けようとするときは、当該種類の種類株主全員の同意を得なければならない。


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もう一歩先へ 2項、3項:
種類株主総会決議を常に必要とするのではスムーズな組織変更ができないため、1項1号以外の会社の行為については(3項ただし書)、種類株主総会決議を不要とする定款を設けることができます。