民法772条 嫡出の推定

第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
 
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


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本条の要件を満たさない場合を、推定されない嫡出子、本条の要件を満たすが、夫が海外にいたとか、事実上の離婚状態であったとか等の、懐胎することが不可能な事実がある場合を、推定の及ばない子といいます。

推定される嫡出子の場合は -> 嫡出否認の訴え(民法774条~民法778条)

推定されない嫡出子、推定の及ばない子の場合は -> 親子関係不存在の訴え

嫡出推定が二重に及ぶ場合は -> 父を定める訴え民法773条

cf. 民法733条 再婚禁止期間

民法145条 時効の援用

第145条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


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改正前民法145条 時効の援用

 

民法724条の2 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

第724条の2 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。


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人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、その原因が債務不履行であっても、不法行為であっても、主観的起算点からの時効期間は5年、客観的起算点からの時効期間は20年となります。

cf. 民法167条 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効

民法724条 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
 
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
 
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。


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改正前民法724条 不法行為による損害賠償請求権の期間の制限

もう一歩先へ 1号:
この消滅時効の時効期間については、被害者が損害及び加害者を知った時が午前零時でない限り、初日は算入しないで計算します。

cf. 民法140条 期間の起算(日、週、月又は年によって期間を定めたとき)
もう一歩先へ 2号:
改正前と異なり、除斥期間ではなく、消滅時効期間とされています。

改正前民法724条後段 不法行為による損害賠償請求権の期間の制限

民法416条 損害賠償の範囲

第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
 
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
 

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改正前民法416条 損害賠償の範囲

もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭37・11・16(抵当権設定登記抹消等請求) 全文

判示事項
 債務の履行不能後目的物の価格が値上りした場合に請求しうる損害賠償額。

裁判要旨
 債務の目的物の価格が履行不能後値上りをつづけて来た場合において、履行不能となつた際債務者がその事情を知りまたは知りえたときは、債務者が口頭弁論終結時の価格まで値上りする以前に目的物を他に処分したであろうと予想された場合でないかぎり、右終結時において処分するであろうと予想された場合でなくても、債権者は、右終結時の価格による損害の賠償を請求しうる。

もう一歩先へ 1項:
cf. 最判平21・1・19(損害賠償請求本訴,建物明渡等請求反訴事件) 全文

判示事項
 店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

裁判要旨
 ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が,同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により,同店舗部分で営業することができず,営業利益相当の損害を被った場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては,賃借人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を執ることなく発生する損害のすべてについての賠償を賃貸人に請求することは条理上認められず,賃借人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできない。
(1) 賃貸人が上記修繕義務を履行したとしても,上記ビルは,上記浸水事故時において建築から約30年が経過し,老朽化して大規模な改修を必要としており,賃借人が賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
(2) 賃貸人は,上記浸水事故の直後に上記ビルの老朽化を理由に賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしており,同事故から約1年7か月が経過して本件訴えが提起された時点では,上記店舗部分における営業の再開は,実現可能性の乏しいものとなっていた。
(3) 賃借人が上記店舗部分で行っていたカラオケ店の営業は,それ以外の場所では行うことができないものとは考えられないし,上記浸水事故によるカラオケセット等の損傷に対しては保険金が支払われていた。

民法722条 損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺

第722条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
 
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。


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改正前民法722条 損害賠償の方法及び過失相殺

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原状回復には多額の費用がかかることもあり、また、金銭賠償は公平な分担を求めることが容易であることから、不法行為の損害賠償は金銭賠償が原則となっています。
 
cf. 民法417条 損害賠償の方法
 
名誉毀損の場合は例外的に、謝罪広告などの適当な処分を命ずることができます。
 
cf. 民法723条 名誉毀損における原状回復
cf. 民法418条 過失相殺