民法96条 詐欺又は強迫

第96条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
 
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
 
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


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改正前民法96条 詐欺又は強迫

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cf. 最判昭47・9・7(昭和46(オ)1127 登記抹消手続等本訴請求、所有権移転登記手続等反訴請求) 全文

判示事項
 売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務と同時履行

裁判要旨
 売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。

cf. 民法121条 取消しの効果
cf. 民法121条の2 原状回復の義務
cf. 民法533条 同時履行の抗弁
cf. 民法546条 契約の解除と同時履行
もう一歩先へ 3項:
虚偽の意思表示をした者(民法94条)に比べれば、詐欺による意思表示をした者は帰責性が小さいと考えられるため、虚偽表示の第三者保護規定は「善意」とされていますが、詐欺の場合には、「善意・無過失」とされています。

民法94条 虚偽表示

第94条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
 
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


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もう一歩先へ 2項:
民法94条2項の適用要件~第三者の意義

  • 当事者及び包括承継以外の者で
  • 虚偽表示による法律行為の存在を前提として
  • 新たに独立の利害関係を有するに至った者

=虚偽表示による外観を信頼して取引をした者
また、この第三者の保護要件は「善意」であれば足り、対抗要件たる登記は不要です。

民法109条 代理権授与の表示による表見代理等

第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
 
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。


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改正前民法109条 代理権授与の表示による表見代理

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民法110条 権限外の行為の表見代理

第110条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。


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改正前民法110条 権限外の行為の表見代理

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cf.判昭35・12・27(昭和30(オ)286  約束手形金請求) 全文

判示事項
 一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任
 二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任

裁判要旨
 一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。
 二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。

cf. 民法112条 代理権消滅後の表見代理等

民法32条の2 同時死亡の推定

第32条の2 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。


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同時死亡の推定が破られない限り、同時死亡の推定を受けた者の相互間においては相続を生じません。

例えば、事故などで、親子が同時死亡の推定を受けた場合、親の財産を子は相続せず、孫がいれば、孫が代襲相続します。孫がいなければ次の順位の者が相続人になります。
また、子の財産については、親は相続せず、親より優先する相続人がいなければ、次の順位の者が相続します。

cf. 民法887条 子及びその代襲者等の相続権

cf. 民法889条 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権

cf. 民法890条 配偶者の相続権

民法30条 失踪の宣告

第30条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
 
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。


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本条1項の失踪を普通失踪、2項の失踪を特別失踪といいます。

cf. 家事事件手続法39条 審判事項
  別表第1・56
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失踪宣告の申立ては、不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所になります。
cf. 家事事件手続法148条 失踪の宣告の審判事件
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失踪宣告等がなされた場合は、訴えを提起した者は、審判が確定してから10日以内に、市区町村役場に失踪の届出をしなければなりません。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要になります。
cf. 戸籍法94条 失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合の届出

cf. 失踪宣告@裁判所

cf. 失踪宣告の申立書@裁判所

cf. 失踪宣告手続の流れ@裁判所

民法31条 失踪の宣告の効力

第31条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす


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失踪宣告の効果は死亡と同様になります。すなわち、相続が発生し、婚姻が終了します。異なるところは、実際に死亡したわけではないため、本人の権利能力は失われません。本人のした契約が無効となる訳ではありません。

cf. 民法882条 相続開始の原因
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失踪宣告の効果が発生する時期は、普通失踪は7年の期間が満了して失踪宣告の申し立てができるようになったとき、特別失踪は危難が去ったとき(1年の期間の起算点)になります。船が沈没したなどの危難が去った時に死亡の可能性が高いためです。

民法744条 不適法な婚姻の取消し

第744条 第七百三十一条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
 
2 第七百三十二条又は第七百三十三条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。


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