民法295条 留置権の内容

第295条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
 
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。


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留置権の成立要件

  1. 他人の物を占有していること
  2. 目的物に関して生じた債権を有すること⇒牽連関係があるということ(留置することによって、弁済を促す関係があること)
  3. 債権が弁済期にあること
  4. 占有が不法行為によって始まったのではないこと
もう一歩先へ 1項:
留置権は物権なので、債務者のみならずそれ以外の全ての者に対して留置権を主張できます。

e.g. Aから借りている車をBがXに修理に出した場合、Xは修理代金の債務者Bには当然、契約関係のないAにも留置権を主張できます。
もう一歩先へ 1項ただし書き:
物の引渡しが先履行なら留置権は発生しないということ。後払いになっているのに、お前が払ってくれないから渡さないとはいえません。

民法296条 留置権の不可分性

第296条 留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。


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不可分性は担保物件の4つの通有性のうちの1つで、担保権者は、被担保債権の全額の弁済を受けるまで、目的物全部について担保権を行使できるという性質です。非典型担保でも同様とされます。

他の3種の典型担保について準用されています。

cf. 民法305条 先取特権の不可分性

cf. 民法350条 質権について留置権及び先取特権の規定の準用

cf. 民法372条 抵当権について留置権等の規定の準用