民事再生法197条 抵当権の実行手続の中止命令等

第197条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている前条第三号に規定する抵当権の実行手続の中止を命ずることができる。
 
2 第三十一条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による中止の命令について準用する。
 
3 裁判所は、再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。


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民事再生法198条 住宅資金特別条項を定めることができる場合等

第198条 住宅資金貸付債権(民法第四百九十九条の規定により住宅資金貸付債権を有する者に代位した再生債権者(弁済をするについて正当な利益を有していた者に限る。)が当該代位により有するものを除く。)については、再生計画において、住宅資金特別条項を定めることができる。ただし、住宅の上に第五十三条第一項に規定する担保権(第百九十六条第三号に規定する抵当権を除く。)が存するとき、又は住宅以外の不動産にも同号に規定する抵当権が設定されている場合において当該不動産の上に同項に規定する担保権で当該抵当権に後れるものが存するときは、この限りでない。
 
2 保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
 
3 第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者又は第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者が数人あるときは、その全員を対象として住宅資金特別条項を定めなければならない。


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民事再生法199条 住宅資金特別条項の内容

第199条 住宅資金特別条項においては、次項又は第三項に規定する場合を除き、次の各号に掲げる債権について、それぞれ当該各号に定める内容を定める。
 一 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを除く。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息(住宅資金貸付契約において定められた約定利率による利息をいう。以下この条において同じ。)並びに再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償 その全額を、再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定める弁済期間(当該期間が五年を超える場合にあっては、再生計画認可の決定の確定から五年。第三項において「一般弁済期間」という。)内に支払うこと。
 二 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来しない住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを含む。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息 住宅資金貸付契約における債務の不履行がない場合についての弁済の時期及び額に関する約定に従って支払うこと。
 
2 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、住宅資金特別条項において、住宅資金貸付債権に係る債務の弁済期を住宅資金貸付契約において定められた最終の弁済期(以下この項及び第四項において「約定最終弁済期」という。)から後の日に定めることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
 一 次に掲げる債権について、その全額を支払うものであること。
  イ 住宅資金貸付債権の元本及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息
  ロ 再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償
 二 住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期が約定最終弁済期から十年を超えず、かつ、住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期における再生債務者の年齢が七十歳を超えないものであること。
 三 第一号イに掲げる債権については、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。
 
3 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、一般弁済期間の範囲内で定める期間(以下この項において「元本猶予期間」という。)中は、住宅資金貸付債権の元本の一部及び住宅資金貸付債権の元本に対する元本猶予期間中の住宅約定利息のみを支払うものとすることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
 一 前項第一号及び第二号に掲げる要件があること。
 二 前項第一号イに掲げる債権についての元本猶予期間を経過した後の弁済期及び弁済額の定めについては、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。
 
4 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者の同意がある場合には、前三項の規定にかかわらず、約定最終弁済期から十年を超えて住宅資金貸付債権に係る債務の期限を猶予することその他前三項に規定する変更以外の変更をすることを内容とする住宅資金特別条項を定めることができる。
 
5 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第百五十五条第一項の規定を、住宅資金特別条項については同条第三項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者については第百六十条及び第百六十五条第二項の規定を適用しない。


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民事再生法200条 住宅資金特別条項を定めた再生計画案の提出等

第200条 住宅資金特別条項を定めた再生計画案は、再生債務者のみが提出することができる。
 
2 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める時までに届出再生債権者が再生債権の調査において第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権の内容について述べた異議は、それぞれその時においてその効力を失う。ただし、これらの時までに、当該異議に係る再生債権の確定手続が終了していない場合に限る。
 一 いずれの届出再生債権者も裁判所の定めた期間又はその伸長した期間内に住宅資金特別条項の定めのない再生計画案を提出しなかったとき 当該期間が満了した時
 二 届出再生債権者が提出した住宅資金特別条項の定めのない再生計画案が決議に付されず、住宅資金特別条項を定めた再生計画案のみが決議に付されたとき 第百六十七条ただし書に規定する決定がされた時
 三 住宅資金特別条項を定めた再生計画案及び届出再生債権者が提出した住宅資金特別条項の定めのない再生計画案が共に決議に付され、住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決されたとき 当該可決がされた時
 
3 前項の規定により同項本文の異議が効力を失った場合には、当該住宅資金貸付債権については、第百四条第一項及び第三項の規定は、適用しない。
 
4 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、第二項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める時までに第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者であって当該住宅資金貸付債権以外に再生債権を有しないもの又は保証会社であって住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権以外に再生債権を有しないものが再生債権の調査において述べた異議についても、第二項と同様とする。この場合においては、当該異議を述べた者には、第百四条第三項及び第百八十条第二項の規定による確定判決と同一の効力は、及ばない。
 
5 再生債務者により住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出され、かつ、第二項第一号又は第二号のいずれかに該当することとなったときは、前項前段に規定する再生債権者又は保証会社は、第百七十条第一項本文の異議を述べることができない。


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民事再生法201条 住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議等

第201条 住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議においては、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者及び保証会社は、住宅資金貸付債権又は住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権については、議決権を有しない。
 
2 住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出されたときは、裁判所は、当該住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者の意見を聴かなければならない。第百六十七条の規定による修正(その修正が、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者に不利な影響を及ぼさないことが明らかな場合を除く。)があった場合における修正後の住宅資金特別条項を定めた再生計画案についても、同様とする。
 
3 住宅資金特別条項を定めた再生計画案に対する第百六十九条第一項の規定の適用については、同項第三号中「第百七十四条第二項各号(第三号を除く。)」とあるのは、「第二百二条第二項各号(第四号を除く。)」とする。


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民事再生法203条 住宅資金特別条項を定めた再生計画の効力等

第203条 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、第百七十七条第二項の規定は、住宅及び住宅の敷地に設定されている第百九十六条第三号に規定する抵当権並びに住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利については、適用しない。この場合において、再生債務者が連帯債務者の一人であるときは、住宅資金特別条項による期限の猶予は、他の連帯債務者に対しても効力を有する。
 
2 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、住宅資金特別条項によって変更された後の権利については、住宅資金特別条項において、期限の利益の喪失についての定めその他の住宅資金貸付契約における定めと同一の定めがされたものとみなす。ただし、第百九十九条第四項の同意を得て別段の定めをすることを妨げない。
 
3 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合における第百二十三条第二項及び第百八十一条第二項の規定の適用については、これらの規定中「再生計画で定められた弁済期間」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定められた弁済期間」と、「再生計画に基づく弁済」とあるのは「再生計画(住宅資金特別条項を除く。)に基づく弁済」とする。
 
4 住宅資金特別条項によって変更された後の権利については前項の規定により読み替えて適用される第百八十一条第二項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受けた者については第百八十二条の規定を適用しない。


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民事再生法204条 保証会社が保証債務を履行した場合の取扱い

第204条 住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合において、保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行していたときは、当該保証債務の履行は、なかったものとみなす。ただし、保証会社が当該保証債務を履行したことにより取得した権利に基づき再生債権者としてした行為に影響を及ぼさない。
 
2 前項本文の場合において、当該認可の決定の確定前に再生債務者が保証会社に対して同項の保証債務に係る求償権についての弁済をしていたときは、再生債務者は、同項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなった者に対して、当該弁済をした額につき当該住宅資金貸付債権についての弁済をすることを要しない。この場合において、保証会社は、当該弁済を受けた額を同項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなった者に対して交付しなければならない。


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民事再生法196条 定義

第196条 この章、第十二章及び第十三章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 
 一 住宅 個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。
 
 二 住宅の敷地 住宅の用に供されている土地又は当該土地に設定されている地上権をいう。
 
 三 住宅資金貸付債権 住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。
 
 四 住宅資金特別条項 再生債権者の有する住宅資金貸付債権の全部又は一部を、第百九十九条第一項から第四項までの規定するところにより変更する再生計画の条項をいう。
 
 五 住宅資金貸付契約 住宅資金貸付債権に係る資金の貸付契約をいう。


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民事再生法241条 再生計画の認可又は不認可の決定等

第241条 前条第二項の規定により定められた期間が経過したときは、裁判所は、次項の場合を除き、再生計画認可の決定をする。
 
2 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
 一 第百七十四条第二項第一号又は第二号に規定する事由(再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合については、同項第一号又は第二百二条第二項第二号に規定する事由)があるとき。
 二 再生計画が再生債権者の一般の利益に反するとき。
 三 再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合において、第二百二条第二項第三号に規定する事由があるとき。
 四 再生債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか、又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないとき。
 五 第二百三十一条第二項第二号から第五号までに規定する事由のいずれかがあるとき。
 六 第二百三十九条第五項第二号に規定する事由があるとき。
 七 計画弁済総額が、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。
  イ 再生債務者の給与又はこれに類する定期的な収入の額について、再生計画案の提出前二年間の途中で再就職その他の年収について五分の一以上の変動を生ずべき事由が生じた場合 当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税、個人の道府県民税又は都民税及び個人の市町村民税又は特別区民税並びに所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十四条第二項に規定する社会保険料(ロ及びハにおいて「所得税等」という。)に相当する額を控除した額を一年間当たりの額に換算した額
  ロ 再生債務者が再生計画案の提出前二年間の途中で、給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった場合(イに掲げる区分に該当する場合を除く。) 給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を一年間当たりの額に換算した額
  ハ イ及びロに掲げる区分に該当する場合以外の場合 再生計画案の提出前二年間の再生債務者の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を二で除した額
 
3 前項第七号に規定する一年分の費用の額は、再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域、当該扶養を受けるべき者の数、物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定める。


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民事再生法238条 小規模個人再生の通常の再生手続に関する規定の適用除外

第238条 小規模個人再生においては、第三十四条第二項、第三十五条、第三十七条本文(約定劣後再生債権に係る部分に限る。)及びただし書、第四十条、第四十条の二(民法第四百二十三条第一項又は第四百二十三条の七の規定により再生債権者の提起した訴訟に係る部分を除く。)、第四十二条第二項(約定劣後再生債権に係る部分に限る。)、第三章第一節及び第二節、第八十五条第六項、第八十七条第三項、第八十九条第二項及び第九十四条第一項(これらの規定中約定劣後再生債権に係る部分に限る。)、第四章第三節(第百十三条第二項から第四項までを除く。)及び第四節、第百二十六条、第六章第二節、第百五十五条第一項から第三項まで、第百五十六条(約定劣後再生債権に係る部分に限る。)、第百五十七条から第百五十九条まで、第百六十三条第二項、第百六十四条第二項後段、第百六十五条第一項、第七章第三節(第百七十二条を除く。)、第百七十四条第一項、第百七十四条の二、第百七十五条第二項、第百七十八条から第百八十条まで、第百八十一条第一項及び第二項、第百八十五条(第百八十九条第八項、第百九十条第二項及び第百九十五条第七項において準用する場合を含む。)、第百八十六条第三項及び第四項、第百八十七条、第百八十八条、第二百条第二項及び第四項、第二百二条第一項、第二百五条第二項並びに第十二章の規定は、適用しない。


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