民法1004条 遺言書の検認

第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
 
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
 
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。


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もう一歩先へ
検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、裁判所書記官が調書に記録することにより、その後に、相続人や第三者によって、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
 
cf. 家事事件手続法211条 遺言書の検認についての調書の作成
 
もう一歩先へ 管轄:
検認の申立ては,遺言書検認申立書と呼ばれる家事審判申立書を遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に提出する方式によって行います。

cf. 家事事件手続法49条 申立ての方式等
cf. 家事事件手続法209条 管轄(遺言に関する審判事件)
cf. 民法883条 相続開始の場所
 
もう一歩先へ 3項:
自筆証書遺言は封印がなくとも、自筆証書遺言の要件を満たしていれば、遺言書として有効です。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ開封できないので、相続人の誰か一人は検認期日に出席する必要があります。封印されていない遺言書の場合なら、検認期日には申立人(遺言書の保管者)だけが出席していればかまいません。

cf. 民法968条 自筆証書遺言
罰則
勝手に開封した場合は過料に処せらます。

cf. 民法1005条 過料(遺言書に関して)
参考 
 
cf. 遺言書の検認@裁判所

cf. 遺言書の検認の申立書

改正前民法940条 相続の放棄をした者による管理

第940条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
 
2 第六百四十五条第六百四十六条第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。


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改正前民法918条 相続財産の管理

第918条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
 
2 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
 
3 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。


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cf. 民法918条 相続人による管理

もう一歩先へ
「固有財産におけるのと同一の注意」は、「自己の財産に対するのと同一の注意」等と同じ意味です。善管注意義務よりは軽い注意義務で、例えば、物を毀損したとしても、重過失がなければ責任を負いません。
 
cf. 民法413条 受領遅滞
 
cf. 民法659条 無報酬の受寄者の注意義務
 
cf. 民法940条 相続の放棄をした者による管理

民法917条 相続の承認又は放棄をすべき期間(相続人が未成年者又は成年被後見人であるとき)

第917条 相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。


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もう一歩先へ
制限行為能力者の場合は、法定代理人の認識を基準としますが、保佐人や補助人は法定代理人ではないので、被保佐人や被補助人には適用されません。

被保佐人が相続の承認や放棄をする場合は保佐人の同意を得なければなりません。

cf. 民法13条1項6号 保佐人の同意を要する行為等
 
被補助人の場合は、相続の承認や放棄が同意の対象に含まれている場合に、補助人の同意が必要になります。

cf. 民法17条 補助人の同意を要する旨の審判等

民法910条 相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権

第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。


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もう一歩先へ
  • 分割後に認知された者については、分割をやり直すのではなく、価額賠償の問題になります。
  • 母子関係については認知をするまでもなく親子関係が認められ、本条も類推適用されないため、嫡出でない子がいる母の死亡による相続について、その子の存在を知らないまま遺産分割協議した場合は、分割当時に存在した共同相続人を除外してされた遺産分割として無効です。