将来発生すべき債権も譲渡することが可能であるが、特段の事情(その将来債権譲渡が、あまりに長期にわたる包括的なものであり、譲渡人の営業活動に対して過度の制限を加え又は他の債権者に不当な不利益を加えるものであると見られる等)があるときは公序良俗違反(民法90条)などのため全部又は一部が無効になることがある
cf.
最判平11・1・29(平成9(オ)219 供託金還付請求権確認) 全文
判示事項
一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時における目的債権の発生の可能性の程度と右契約の効力
二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来支払を受けるべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約の効力を否定した原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨
一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然には左右しない。
二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来八年三箇月の間に支払を受けるべき各月の診療報酬債権の一部を目的として債権譲渡契約を締結した場合において、右医師が債務の弁済のために右契約を締結したとの一事をもって、契約締結後六年八箇月目から一年の間に発生すべき目的債権につき契約締結時においてこれが安定して発生することが確実に期待されたとはいえないとし、他の事情を考慮することなく、右契約のうち右期間に関する部分の効力を否定した原審の判断には、違法がある。