会社計算規則59条 各事業年度に係る計算書類

第59条 法第四百三十五条第二項に規定する法務省令で定めるものは、この編の規定に従い作成される株主資本等変動計算書及び個別注記表とする。
 
2 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。
 
3 法第四百三十五条第二項の規定により作成すべき各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
事業年度の末日を変更した場合には、変更後の最初の事業年度について、1年6か月まで許容しています。

しかしながら、税務申告にかかわる法人税法上の「事業年度」とは、事業年度が一年を超える場合には、事業年度の開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいいます。

cf. 法人税法13条1項 事業年度の意義

そのため、会社が定款を変更して、一年を超える事業年度を定めた場合であっても、事業年度の開始から一年を経過して時点で、税法上の事業年度が終了し、計算書類を作成して税務申告をしなければなりません。
したがって、変更後最初の事業年度が一年以内になるように期間を設定することで、税法との整合性を保つことができます。

もう一歩先へ 3項:
「会計帳簿」とは、計算書類と附属明細書の作成の基礎となる、総勘定元帳、日記帳、仕訳帳、補助簿等を意味します。

会社法435条 計算書類等の作成及び保存

第435条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
 
2 株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
 
3 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
 
4 株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
かっこ書き内の「法務省令」で定めるものは、株主資本等変動計算書(いわゆる株主持分変動計算書)、個別注記表のことです。

cf. 会社計算規則59条1項 各事業年度に係る計算書類

会社法436条 計算書類等の監査等

第436条 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
 
2 会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
 一 前条第二項の計算書類及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
 二 前条第二項の事業報告及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)
 
3 取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第一項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。


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会社法437条 計算書類等の株主への提供

第437条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。


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もう一歩先へ
取締役会設置会社では、株主総会招集通知は書面(または電磁的方法)で発送される(会社法299条2号、3項 株主総会の招集の通知)ため、取締役会の承認を受けた計算書類等が、定時株主総会の招集通知に添付などの形で提供されることになります。

取締役会非設置会社では、本条の適用はありません。

監査役設置会社では監査報告も提供。

cf. 会社法381条1項 監査役の権限

cf. 会社法389条2項 定款の定めによる監査範囲の限定

会計監査人設置会社では会計監査報告も提供。

cf. 会社法396条 会計監査人の権限等

会社法315条 議長の権限

第315条 株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
 
2 株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。


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改正前商法244条 総会の議事録

改正前商法244条 総会の議事録

もう一歩先へ
会社法施行規則72条3項5号は、「株主総会の議長が存するときは、議長の氏名」と株主総会の議事録の記載事項としているため、議長は必須ではありません。

cf. 会社法施行規則72条3項5号 株主総会議事録
 
もう一歩先へ
その議事采配が違法又は著しく不公正な場合には、決議方法の法令違反等として決議の取消事由となります。

cf. 会社法831条1号 株主総会等の決議の取消しの訴え

会社計算規則153条 剰余金の処分

第153条 法第四百五十二条後段に規定する法務省令で定める事項は、同条前段に規定する剰余金の処分(同条前段の株主総会の決議を経ないで剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合における剰余金の処分を除く。)に係る次に掲げる事項とする。
 一 増加する剰余金の項目
 二 減少する剰余金の項目
 三 処分する各剰余金の項目に係る額
 
2 前項に規定する「株主総会の決議を経ないで剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合」とは、次に掲げる場合とする。
 一 法令又は定款の規定(法第四百五十二条の規定及び同条前段の株主総会(法第四百五十九条の定款の定めがある場合にあっては、取締役会を含む。以下この項において同じ。)の決議によるべき旨を定める規定を除く。)により剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合
 二 法第四百五十二条前段の株主総会の決議によりある剰余金の項目に係る額の増加又は減少をさせた場合において、当該決議の定めるところに従い、同条前段の株主総会の決議を経ないで当該剰余金の項目に係る額の減少又は増加をすべきとき。


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会社法452条 剰余金についてのその他の処分

第452条 株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分(前目に定めるもの及び剰余金の配当その他株式会社の財産を処分するものを除く。)をすることができる。この場合においては、当該剰余金の処分の額その他の法務省令で定める事項を定めなければならない。


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会社法438条 計算書類等の定時株主総会への提出等

第438条 次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
 一 第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第四百三十六条第一項の監査を受けた計算書類及び事業報告
 二 会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第四百三十六条第二項の監査を受けた計算書類及び事業報告
 三 取締役会設置会社 第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告
 四 前三号に掲げるもの以外の株式会社 第四百三十五条第二項の計算書類及び事業報告
 
2 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
 
3 取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
会計監査人のいる取締役会設置会社では、本項の決議は不要となることがあります。

cf. 会社法439条 会計監査人設置会社の特則
もう一歩先へ 3項:
事業報告は、取締役による報告のみでよく、承認決議は不要です。