会社法435条 計算書類等の作成及び保存

第435条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
 
2 株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
 
3 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
 
4 株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。


e-Gov 会社法

 

もう一歩先へ 2項:
かっこ書き内の「法務省令」で定めるものは、株主資本等変動計算書(いわゆる株主持分変動計算書)、個別注記表のことです。

cf. 会社計算規則59条1項 各事業年度に係る計算書類

会社法436条 計算書類等の監査等

第436条 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
 
2 会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
 一 前条第二項の計算書類及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
 二 前条第二項の事業報告及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)
 
3 取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第一項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。


e-Gov 会社法

会社法437条 計算書類等の株主への提供

第437条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。


e-Gov 会社法

 

もう一歩先へ
取締役会設置会社では、株主総会招集通知は書面(または電磁的方法)で発送される(会社法299条2号、3項 株主総会の招集の通知)ため、取締役会の承認を受けた計算書類等が、定時株主総会の招集通知に添付などの形で提供されることになります。

取締役会非設置会社では、本条の適用はありません。

監査役設置会社では監査報告も提供。

cf. 会社法381条1項 監査役の権限

cf. 会社法389条2項 定款の定めによる監査範囲の限定

会計監査人設置会社では会計監査報告も提供。

cf. 会社法396条 会計監査人の権限等

会社法315条 議長の権限

第315条 株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
 
2 株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。


e-Gov 会社法

 
改正前商法244条 総会の議事録

改正前商法244条 総会の議事録

もう一歩先へ
会社法施行規則72条3項5号は、「株主総会の議長が存するときは、議長の氏名」と株主総会の議事録の記載事項としているため、議長は必須ではありません。

cf. 会社法施行規則72条3項5号 株主総会議事録
 
もう一歩先へ
その議事采配が違法又は著しく不公正な場合には、決議方法の法令違反等として決議の取消事由となります。

cf. 会社法831条1号 株主総会等の決議の取消しの訴え

会社計算規則153条 剰余金の処分

第153条 法第四百五十二条後段に規定する法務省令で定める事項は、同条前段に規定する剰余金の処分(同条前段の株主総会の決議を経ないで剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合における剰余金の処分を除く。)に係る次に掲げる事項とする。
 一 増加する剰余金の項目
 二 減少する剰余金の項目
 三 処分する各剰余金の項目に係る額
 
2 前項に規定する「株主総会の決議を経ないで剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合」とは、次に掲げる場合とする。
 一 法令又は定款の規定(法第四百五十二条の規定及び同条前段の株主総会(法第四百五十九条の定款の定めがある場合にあっては、取締役会を含む。以下この項において同じ。)の決議によるべき旨を定める規定を除く。)により剰余金の項目に係る額の増加又は減少をすべき場合
 二 法第四百五十二条前段の株主総会の決議によりある剰余金の項目に係る額の増加又は減少をさせた場合において、当該決議の定めるところに従い、同条前段の株主総会の決議を経ないで当該剰余金の項目に係る額の減少又は増加をすべきとき。


e-Gov 会社計算規則

会社法452条 剰余金についてのその他の処分

第452条 株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分(前目に定めるもの及び剰余金の配当その他株式会社の財産を処分するものを除く。)をすることができる。この場合においては、当該剰余金の処分の額その他の法務省令で定める事項を定めなければならない。


e-Gov 会社法

 

会社法438条 計算書類等の定時株主総会への提出等

第438条 次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
 一 第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第四百三十六条第一項の監査を受けた計算書類及び事業報告
 二 会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第四百三十六条第二項の監査を受けた計算書類及び事業報告
 三 取締役会設置会社 第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告
 四 前三号に掲げるもの以外の株式会社 第四百三十五条第二項の計算書類及び事業報告
 
2 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
 
3 取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。


e-Gov 会社法

 

もう一歩先へ 2項:
会計監査人のいる取締役会設置会社では、本項の決議は不要となることがあります。

cf. 会社法439条 会計監査人設置会社の特則
もう一歩先へ 3項:
事業報告は、取締役による報告のみでよく、承認決議は不要です。

会社法454条 剰余金の配当に関する事項の決定

第454条 株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
 二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
 三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日
 
2 前項に規定する場合において、剰余金の配当について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第二号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。
 一 ある種類の株式の株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
 二 前号に掲げる事項のほか、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
 
3 第一項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該株式会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
 
4 配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めることができる。ただし、第一号の期間の末日は、第一項第三号の日以前の日でなければならない。
 一 株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは、その旨及び金銭分配請求権を行使することができる期間
 二 一定の数未満の数の株式を有する株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数
 
5 取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。


e-Gov 会社法

 

もう一歩先へ 1項1号:
「配当財産」⇒ 会社法2条25号 定義

ただし、株式、社債、新株予約権は除きます(1号かっこ書き、会社法107条2項2号ホかっこ書き 株式の内容についての特別の定め

もう一歩先へ 5項:

会社法363条 取締役会設置会社の取締役の権限

第363条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
 一 代表取締役
 二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
 
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。


e-Gov 会社法

 

もう一歩先へ 1項:
非取締役会設置会社の場合は、原則として、取締役が業務を執行します。

cf. 会社法348条1項 業務の執行