民法114条 無権代理の相手方の催告権

第114条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。


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本条の催告権は善意・悪意を問いません。

民法111条 代理権の消滅事由

第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
 一 本人の死亡
 二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
 
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。


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代理権の消滅事由で、法定代理と任意代理で異なるのは、本人(委任者)の破産です。

cf. 民法653 委任の終了事由

民法545条 解除の効果

第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
 
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
 
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
 
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。


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改正前民法545条 解除の効果

もう一歩先へ 2項:
不当利得の一般原則(703条、704条)と異なり、金銭の受領者が善意であっても利息の返還が義務付けられています。

cf. 民法703条 不当利得の返還義務
cf. 民法704条 悪意の受益者の返還義務等

民法95条 錯誤

第95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる
 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
 
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
 
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
 
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


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改正前民法95条 錯誤

もう一歩先へ 1項:
cf. 民法126条 取消権の期間の制限

契約が取り消された場合には、債務が存在しないことになり、債務不履行に基づく損害賠償請求はすることができません。

もう一歩先へ 2項:
いわゆる「動機の錯誤」の場合です。「表示」には、黙示の表示:言うまでもなくわかってるでしょ!というくらいの状況も含まれます。

cf. 民法412条の2 履行不能
もう一歩先へ 3項:
本条は表意者を保護するための規定ですが、表意者に重大な過失がある場合には、保護に値しなくなるとされ、取消しの主張ができなくなります。

また、相手方が錯誤につき知っていた場合などは、相手方を保護する必要はないと考えられるため、取消しの主張は制限されません。

もう一歩先へ 4項:
錯誤についての第三者保護規定の要件は、「善意・無過失」となっていますが、虚偽表示(民法94条)の場合は、単に「善意」とされています。

これは虚偽の意思表示をした者に比べれば、錯誤による意思表示をした者の方が責められるべき事情が小さいため、錯誤についての第三者保護規定の要件の方がより厳しくなっているものと考えられます。

cf. 民法707条1項 他人の債務の弁済

民法96条 詐欺又は強迫

第96条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
 
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
 
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


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改正前民法96条 詐欺又は強迫

もう一歩先へ 3項:
虚偽の意思表示をした者(民法94条)に比べれば、詐欺による意思表示をした者は帰責性が小さいと考えられるため、虚偽表示の第三者保護規定は「善意」とされていますが、詐欺の場合には、「善意・無過失」とされています。

民法94条 虚偽表示

第94条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
 
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


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もう一歩先へ 2項:
民法94条2項の適用要件~第三者の意義

  • 当事者及び包括承継以外の者で
  • 虚偽表示による法律行為の存在を前提として
  • 新たに独立の利害関係を有するに至った者

=虚偽表示による外観を信頼して取引をした者
また、この第三者の保護要件は「善意」であれば足り、対抗要件たる登記は不要です。

民法109条 代理権授与の表示による表見代理等

第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
 
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。


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改正前民法109条 代理権授与の表示による表見代理

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民法110条 権限外の行為の表見代理

第110条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。


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改正前民法110条 権限外の行為の表見代理

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民法32条の2 同時死亡の推定

第32条の2 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。


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同時死亡の推定が破られない限り、同時死亡の推定を受けた者の相互間においては相続を生じません。

例えば、事故などで、親子が同時死亡の推定を受けた場合、親の財産を子は相続せず、孫がいれば、孫が代襲相続します。孫がいなければ次の順位の者が相続人になります。
また、子の財産については、親は相続せず、親より優先する相続人がいなければ、次の順位の者が相続します。

cf. 民法887条 子及びその代襲者等の相続権

cf. 民法889条 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権

cf. 民法890条 配偶者の相続権