第490条 前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。
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第490条 前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。
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第490条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、前二条の規定を準用する。
第491条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
2 第四百八十九条の規定は、前項の場合について準用する。
第491条 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、前三条の規定を準用する。
改正前民法491条 元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当
第492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。
cf.
民法492条 弁済の提供の効果
第492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
判示事項
一 供託金額の不足が弁済提供および供託の効力に影響を及ぼさない事例
二 売渡担保の目的物返還義務不履行による損害額算定の時期
裁判要旨
一 消費貸借上の債務弁済のため提供供託された元利合計金一五万三一四〇円が、正当な元利合計額に金一、三〇〇余円不足するとしても、この一事により弁済提供および供託の効果を否定することはできない。
二 債権者が弁済期到来前売渡担保の目的物である山林の立木を伐採したため、弁済により右山林の所有権が債務者に復帰した場合立木の引渡不能によつて債務者の被るべき損害の額は、右不能が確定的となつた伐採時の価格を基準として算出すべきである。
第493条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
判示事項
受領の催告をしなくても弁済のための現実の提供があるとされた事例。
裁判要旨
債務者が賃料を持参して債権者の代理人である弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため、現金の呈示ができない場合には、特段の事情のないかぎり、右弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があつたものと解すべきである。
判示事項
債権者において弁済を受領しない意思が明確な場合でも弁済の提供をしない債務者は債務不履行の責を免れないとされた事例
裁判要旨
弁済の準備ができない経済状態にあるため言語上の提供もできない債務者は、債権者が弁済を受領しない意思が明確な場合であつても、弁済の提供をしないかぎり、債務不履行の責を免れない。
判示事項
債務の本旨に従つた履行の提供と認められない事例
裁判要旨
甲家屋の賃貸人がその賃料の支払を催告したのに対し、賃借人が、乙家屋と丙土地もともに賃貸借の目的物であると争つて甲家屋の賃料に乙家屋と丙土地の相当賃料額を合わせた金員を、その金額を受領しなければ支払わない意思で提供した場合には、債務の本旨に従つた履行の提供があつたものとはいえない。
第496条 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。
2 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。
第497条 弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる。その物の保存について過分の費用を要するときも、同様とする。
cf.
民法497条 供託に適しない物等